後編
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土屋がにらみつけてきた。
「なんか可愛げのねえガキだな。・・・ツラは悪くねーが。」
土屋は私の前に歩いてきてかがむと、片手で私の顎をぐいっと掴んだ。
指にギリギリと力がこもる。痛い・・・。
侮辱的な扱いに、私は涙目になりながら金髪をにらみ返した。
「気が強えーな。お前みたいな奴は泣かせてみたくなる。ちょうどベッドもあるしヒマつぶしにやっちまうか。」
「ガキ相手に何言ってやがる。」
大高が怒った声で言った。
「このぐらいの年なら、俺は十分いけるね。場所も場所だし、せっかくだから大人の遊びを教えてやろうぜ。」
「そんな時間はねえ!」
大高が怒鳴りつけ、私の顔から土屋の手を掴んで引きはがした。
「このあいだのジジイの件だって、お前が癇癪起こすからまずいことになったんだ。おかげでこっちは身バレして、指名手配までされちまった。ちったあ大人しくしてろ。」
土屋は口を尖らせて、すねたように離れるとそっぽを向く。
大高は怖い顔でこちらに向き直った。
「教えといてやる。さっきもう1人いたろ。あいつは俺たちの中で唯一面が割れてない。今は、車を遠くに捨てに行ってるが、もうすぐ別の運送用のトラックで戻ってくることになってる。それでこのホテルから出るのさ。
なあにバレはしない。あいつは本当に運送屋で、これから本当の仕事でトラックを走らせるんだ。
俺たちはその荷物に混ざるだけだ。
お前らはまだ解放できない。しばらく付き合ってもらうぜ。」
「いったいどこに逃げる気?日本のどこに逃げてもいずれ見つかるわよ。」
「だから日本じゃないとこにいくのさ。」
男はそこまで言うと、いきなり私とケンに猿轡をかませた。
もう話すことはもう無い、ということらしい。時間稼ぎもここまでか・・・
そこに放置されたまま、さらにしばらく時間が経って、ノックの音がした。
大高が除き穴から確認し、ドアを開ける。先ほどの大男が戻ってきたのだった。
「準備はできている。早く行くぞ。」
大男がドアを開けたまま二人に声をかける。それを聞いた男達は、こちらに向かって歩いてきた。
そして深夜0時になった。
照明が消え、大男が明けたドアから入ってくる月あかりだけになる。男たちもマコトも象徴化して棺に姿を変えていた。
影時間が訪れたのだ。
1日と1日の狭間にある隠された時間。この時間は適応できる人にしか認知することができない。
今ここで動けるのは僕だけだ。
僕は縛られたまま壁に寄りかかって立ち上がると、なんとかベッドサイドの台まで移動して、先ほど大高が置いたナイフを手にした。そして、切れるところからロープを切り、苦労して体を自由にする。
解放感に笑みがこぼれた。少し動いて縛られていた体をほぐす。マコトも自由にしてあげたいけれど、棺の状態ではどうしようもない。
ドアから
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