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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第21話:夢裂かれし者
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も暴行中に意識を失ったりするようなことはなかった。
意識を手放せば、矛先がクリスに向くかもしれない。それだけはさせまいと、透は幼いながらも気力だけで意識を保ち続けたのだ。
そして暴力が去った後は、必ずと言っていい程クリスがボロボロになった透を抱きしめ静かに涙を流していた。自身の無力さと、自分を守る為に身代わりとなってくれた透に対する申し訳なさで…………。
「透、大丈夫ッ!? しっかりして────!?」
「僕は……大丈夫、だよ。大丈夫……2人で一緒に帰ろう。それで、2人で沢山の人を歌と音楽で、笑顔にするんだ。クリスのお父さんとお母さんが、出来なかった事を、僕らがやるんだ」
「できるの、かな? パパとママは、そう言ってここに来て死んじゃったのに…………」
「出来るよ、僕とクリスなら。だから、頑張ろう? 頑張って信じて、一緒に日本に帰ろう」
「うん…………約束だよ。一緒に帰って、今度はあたし達がパパとママの代わりに歌で皆を笑顔にするの」
「うん…………約束」
薄暗く他の子供達も居る部屋の中で、2人は生きて帰る事と将来の夢を誓い合った。クリスの両親の夢を自分達が受け継ぎ、ここから生き延びて2人の代わりに人々を歌で笑顔にする。
それは2人にとって、生き延びる為の希望であった。
それからどれだけそんな生活が続いただろうか。
2人以外は部屋に押し込められた子供の顔ぶれも幾分か変わり、自分達より幼い子供の姿も目にするようになった。そんな子達は当然恐怖と不安に身を震わせ、時には泣き出すことも少なくはない。だが大きな泣き声を上げれば、黙らせようと組織の男が入ってきて泣く子に暴力を振るう。
クリスだけでなくそう言った子も守りたいと思う透ではあったが、生憎と鎖の長さの関係で彼が助けに入れる距離には限度があった。
結果、何も出来ず泣く子が暴力を振るわれるのを黙って見ているしかない。
そんな時、透はある事を閃いた。子供達が不安を抱いているのなら、それを取り除いてやればいい。
どうすればいいか?
面白い話で気分を和らげてやるのもいいが、それ以上に彼が名案として思い浮かべたのは歌であった。歌って子供達や、クリスの心の不安を取り除こうと考えたのだ。
これはただクリス達を元気付けるだけでなく、ここから生き延びた後今度は2人でクリスの両親の夢を受け継ぎ歌で人々を笑顔にする。
それが出来るという事をクリスに証明する意味もあった。
とにかく彼はその日から歌を歌い、クリスや他の捕虜となった子供達の不安を取り除く事にした。
流石に考え無しに歌っていては武装組織の男達に煩わしがられて暴力を振るわれるのは目に見えていたので、男達の見張りや見回りの時間を覚えてその時間の合間を縫うようにして歌
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