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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第21話:夢裂かれし者
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はただの慰安ではない。
2人の目的──いや夢は、音楽で世界を平和にすること。その一歩として、雪音夫妻は戦災により暗い気持ちになった人々を自分たちの音楽で笑顔にしようと行動したのだ。
クリスがそれについていく事になった事を告げると、透は自分もそれについて行くと言い出したのだ。
当然、彼の父である航はそれに反対した。透の母は既に他界しており、航に残されたのは我が子である透ただ1人。その透がよりにもよって海外の紛争地帯に行くなど到底許容できるものではなかった。
だがこの時ばかりは透が頑固に我が儘を通した。
父からヴァイオリンを教わってはいたものの、彼の中にはやはり歌に対する強い情熱があったのだ。
そして雪音夫妻は、その歌で世界を平和にし人々を笑顔にして見せると言ってのけたのである。透はそれが見たかった。
何を隠そう、彼の夢もまた自身の歌で人々を笑顔にすることだった。クリスと共に、世界の人々を歌と音楽で笑顔にしたいと、彼は心から願っていたのだ。
その夢の光景が目の前で見られるかもしれない。となれば、居ても立ってもいられなくなるのは当然の事であった。
長い話し合いの末、最終的には航が折れ透の雪音一家同行は許可される事となる。
そして────────それが透にとっての苦難の人生の始まりであった。
ある時、彼らが活動の拠点としていたある村の教会に運び込まれた支援物資の中に爆弾が混じっており、その爆発に巻き込まれ雪音夫妻は死亡。透とクリスの2人も、その後にやってきた現地の武装組織の捕虜となってしまった。
それからは正に地獄の日々であった。
武装組織の連中は相手が子供だろうと容赦なく暴力を振るい、時には平然と子供を売買した。幸いな事に容姿の優れていたクリスは勿論、透も日本人は金になるからと言う事で安易に売られる事はなく済んでいた。
それでも時折ふとした瞬間に暴力が振るわれる事はある。
大抵は不安に押しつぶされそうになったクリスが泣き出すとそれを煩わしく思い、黙らせる目的で見張りに来ていた者が振るう事が多かった。
その度に、透はクリスを守る為に武装組織の者の前に立ち塞がった。鎖で壁に繋がれてはいたが、幸運な事に2人は隣り合わせで繋がれていたのだ。故に、透は彼女を守る為に動くことが出来た。
だがその場合、当然だがクリスに向けられた暴力は透に向けられることになる。
相手が男児だと言う事だからか、はたまたクリスへの暴行を邪魔された腹いせもあってか透への暴行は激しく気を失いそうになるまで殴られたりすることもざらだった。
クリスが止めるよう懇願するが聞いてもらえる筈も無く、組織の男達が満足した頃には毎回ボロ雑巾のようになっていた。
それでも透は一度たりと
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