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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第21話:夢裂かれし者
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かと思いこの件はもう暫く保留にしようと思っていたのだ。

 だが先日の戦いで、翼と颯人が負傷で暫く戦闘に加われないという事態になってしまった。
 そんな状況で悠長なことは言っていられないと、奏は今回響の鍛錬を弦十郎に託そうと考えたのである。
 奏はそのついでに、弦十郎に模擬戦などをしてもらって鍛えてもらおうと考えていた。

 ところが…………。

「ま、あたしはそのついでに一緒に鍛えてよ。流石に響みたいに映画見てそれ真似るってんで何とかなるとは思えないけど、旦那相手に組手とかさ「あぁ、あぁ、あぁ、待て待てそんなんじゃ駄目だって。奏は実戦形式でやって体で動き覚えた方が早いっしょ? 俺が相手になるよ」────んん!?」

 突如この場に居る筈のない者の声が響く。

 その声に奏を含む全員が一瞬フリーズし、次の瞬間声がした方を一斉に見るとそこにはまだ病院のベッドの上に居る筈の颯人の姿があった。
 まだそう日が経っておらず、怪我自体も決して浅いものではなかった筈だ。ここに居て良い筈がないのである。

 その彼がここに居る事にまず真っ先に声を上げたのは言うまでもなく奏だった。

「颯人ぉッ!? おま、何してんだ此処でッ!? まだ入院中の筈だろうがッ!?」
「言ったろ、これでも結構頑丈だって? あんなのちょっと寝てればすぐ直るよ」

 そう言って颯人は両手を軽く広げ、試してみろと促した。

 奏は弦十郎の顔を見て、彼が頷きかけたのを合図にちょっと強めに颯人の脇腹を小突いた。先日はこれで颯人の負傷が発覚したのだ。今回もこれで何らかのボロを見せる筈だった。

 しかし、奏が二度三度と先日と同じ箇所を小突いているにもかかわらず、颯人は全く顔色を変えない。汗一つ掻かない様子に、奏が驚愕と疑問の入り混じった顔を弦十郎に向ける。

「…………本当に、大丈夫なのか?」
「おっちゃんまで疑り深いねぇ? マジで重症な人間がこんなピンピンしてると思う?」

 颯人の言葉に弦十郎は眉間に皺を寄せて、口をへの字に曲げた。見た感じ、嘘をついているようには見えなかったのだ。

 この場にいる者の中で一番彼と付き合いが長い奏に視線で訊ねてみるが、彼女も彼が嘘をついているようには見えないのか首を左右に振った。
 どう考えても昨日の今日で退院など出来る訳がないのだが、この様子では何を言っても無駄だろう。
 仮に無理矢理病院へ放り込んで閉じ込めたとしても、彼なら何とかしてしまいそうな気がする。いや絶対何とかするだろう。短い付き合いの弦十郎でもそれは察する事が出来た。

 寧ろ、変に無茶されてもっと面倒なことになられても困る。となれば、目の届くところに居てもらいもしもと言う事態に即座に対応できるようにした方が利口と言うものだろう。
 幸
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