中編
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いきなり頭から袋をかぶせられ、マコトと同じように3人がかりで縛り上げられてしまった。
身動きのできないまま転がった僕は、「このやろ」という声とともに2回蹴りを入れられた。
「うぐっ!」その痛みに声も出せずに悶えた。
僕を蹴ったのはたぶん金髪男だろう。悔しさに涙が出た。
「やめろ。誰かに見られる前に車に乗せるんだ。」
大高と思われる声がする。そして抱え上げられた挙句、車の中に放り込まれた。
広さの感じから、ワゴン車の後ろの荷台部分のようだ。隣にマコトが同じように転がされている気配がある。
「大声出したら殺すからな。大人しくしてろ。」
そう声がかけられ、すぐに音を立てて後部ハッチが閉められた。そして男たちが乗り込むと、車が走り出した。
僕らの尾行はどこかで気づかれていたらしい。大高が歩きながら電話していたのは、仲間を呼んでいたのだ。後悔しても後の祭りだ。僕らはまんまと周囲に人のいないないところに連れ出されてしまったわけだ。
これがシャドウ相手なら、僕の直接攻撃は大きなダメージを与えることができる。それがペルソナ使いの力だ。
しかし人間相手ではそうはいかない。棒を振り回してもしょせんただの小学生だ。三人がかりで抑え込まれたら、どうしようもない。
自分の非力さが辛かった。
仲間のことを忘れていたのはうかつだった。
あの金髪の顔には覚えがある。手配されていた大高の仲間の土屋に違いない。
しかし二人組と聞いていたのに、実行犯以外にもう一人いたとは・・・。
私が無謀だった為に、ケンまで巻き込むことになってしまった。悔んでも悔みきれない。
しかし後悔するのは後回しだ。ともかく今は冷静になるべき時だ。
お姉ちゃんはどうしているだろう。ポートアイランド駅にいることは伝えた。子供が二人モノレールに駆け込んだのを誰かから聞いているかもしれない。警察なら巌戸台で降りたのを突き止められるかも。駅なら監視カメラとかの映像にも残っているはずだ。その後は・・・
「マコト、聞こえる?」
袋をかぶせられてるので周りは見えないが、隣に寝かされているらしいケンが小声で話しかけてきた。
「ええ。ケンは大丈夫?ケガしてない?」
「何回か蹴られて痛かったけど、今は大丈夫。マコトは?」
「私は押さえつけられただけ。ケガはないわ。」
「そう、なら良かった。」
良かった・・・と言える状態ではない。この後どうされるのか。口封じに殺される可能性だってある。
チャンスを見つけて逃げ出さないと・・・最悪、せめてケンだけでも・・・。
「もしかして、さっきあの大男を投げた?」
考え事をしているとケンがまた話しかけてきた。
「ええ、私、護身用に合気道を習ってるの。」
後ろから羽交い絞めにされかけたところで、相手の足の甲を思いっきり踏みつけ、腕を逆につかんで相手の
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