中編
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渡してあって立ち入りを禁じているが、大高はそれを乗り越えて敷地内に入っていった。
少し時間をおいてから二人で前まで行ってみる。大高はこの事務所っぽい建物の中に入り込んだようで見当たらない。
建物は看板が外されており、正面には「貸事務所」という不動産屋の表示が貼られているのが見えた。今は無人になっているらしい。奴らはここを隠れ家にしているのだろうか?
「僕が見張っているから、マコトは警察に通報を・・・」
建物の様子をうかがいながら僕がそう言いかけたとき、
「警察だと?」と背後から野太い声がした。
驚いて振り向くと、いつの間にか僕らの後ろにツナギの作業着を着た大男が立ちはだかっていた。
こちらが声を上げる間もなく、いきなり後ろからマコトを羽交い絞めに押さえこむ。
しかも、その背後からさらにもう一人、派手なシャツの金髪の男が現れて僕に向かって来た。
僕は反射的にチェーンを乗り越えると、建物の壁際まで素早く後退した。そして、そこに置きっぱなしになっていたデッキブラシを拾い上げて構える。
その時、何があったのか、マコトにつかみかかっていた男がいきなりもんどりうって転倒した。
信じられないことだが、まるでマコトが大男を投げ飛ばしたみたいに見えた。
僕に向かってきていた金髪男が、一瞬そちらに気を取られる。その隙をついて、僕はデッキブラシを回転させて男の向う脛を打ち、さらに続けて痛みでうずくまった男の肩に打ち下ろした。
「痛え!」
男が悲鳴をあげて転がる。
一方で、転倒していた大男が起き上がろうと顔を起こす。マコトはその顔面に真正面からパンチを繰り出した。
「ぐあっ!」
「なんだこいつら、喧嘩慣れしてるぞ。」金髪が叫ぶ。
「マコト、逃げろ!」
僕は金髪男のわきをすり抜けてマコトに駆け寄ろうとした。
しかし、背中にいきなり衝撃があり前につんのめってしまう。
さらにそのよろけた足に、金髪男がしがみついてくる。僕はバランスを崩して倒れこんだ。
「ケン!」
それに気づいたマコトがこっちに駆け寄ろうとする。
「馬鹿、早く逃げろ!」僕は叫んだ。
そのマコトにさらにもう一人、僕らが尾行していた大高が駆け寄りつかみかかるった。
先ほどの背中の衝撃は、建物から出てきたこの男に蹴り飛ばされたためらしい。
大男も起き上がってきてマコトは挟み撃ちになった。
マコトは素早く身をかわそうとしたが大人二人がかりが相手ではなすすべもなく、力任せに抑え込まれた上に、大高が持ってきた袋のようなものを頭からかぶせられてしまう。腰まであるような大きな袋だ。大男がその上からローブで縛り上げていく。
僕は金髪男にのしかかられて振りほどけず、ただひたすらもがいた。
「離せ、ちきしょう。」
「大人しくしやがれ。」
何とか金髪を振りほどこうとしているところに、
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