第一章
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ちょっとズル
七瀬アリスの家はかなりの資産家である、その為か街では結構以上な力を持っていてあちこちに顔が利く。だが家訓としてだ。
その権力の濫用は戒めていてアリス自身人格を磨く教育を受けていて楚々とした落ち着いた人柄で知られている。その為通っている高校でも評判だ。
見事なブロンドの髪の毛と澄んだ青くはっきりした目はイギリス人の母親譲りだ、そのブロンドの髪の毛をロングにしていて耳だけ出している。
小さな唇に父親譲りのアジア系の肌の感じだが色は母親のもので雪の様に白い。背は一六〇程でスタイルはかなりいい。
その彼女だがある日。
体育の授業中にグラウンドである男子生徒を見て友人に問うた。
「あの方は」
「どうしたの、アリスちゃん」
「はい、あちらの方ですが」
背は一七〇程だがサッカーの授業で素早く動く少年を見て友人に問うた。見ればアリスは白い体操服と赤の半ズボンがよく似合っている。白いソックスも清潔だ。
「凄い動きですね」
「ああ、あの子ね」
「同級生の方ですね」
「隣のクラスの子よ」
「そうですか」
「ええと、名前は」
友人はここで考える顔になって述べた。
「何ていったかしら」
「海堂友樹君でしょ」
横から別の友人が言ってきた。
「サッカー部の」
「海堂さんですか」
「ええ、背は普通位だけれど」
一七〇でとだ、友人はアリスに話した。
「動きがあの通りね」
「俊敏で」
「実は陸上部なのよ」
「サッカー部でなくて」
「そう、短距離走のホープなのよ」
「そうですか」
「ただね、それ以外はね」
その友人はアリスにここで困った顔になって話した。
「私は知らないの」
「そう、ですか」
「ええ、けれどね」
「それでもですか」
「悪くないかもね」
友樹、彼はというのだ。
「結構性格がいい感じね」
「そうですね」
アリスは内心彼に感じるものがあった、それでだった。
家に帰って父も仕事から帰るとそっと囁いた。
「お願いしたいことがあります」
「何だい?」
「悪いことになりますが」
こう前置きしての言葉だった。
「お小遣いをもっと」
「欲しいのかい」
「お願い出来るでしょうか、それと」
「それと?」
「実はある人を調べて欲しいのですが」
「ある人?」
「その人は」
アリスはその友樹のことを父に話した、そのうえで言うのだった。
「お願い出来るでしょうか」
「その子をかい」
「宜しければ」
「一つ言っておくが」
父は娘に落ち着いた声で言った。
「当家の家訓は」
「はい、力を悪いことに使わない」
「権力にしても財力にしても」
「力があるならですね」
「悪用してはならない」
「絶対に」
「そ
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