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ペルソナ3 ケン と マコト
前編
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ングラスにマスクという姿は確かにあからさまに怪しいが、しかし最近は普段からマスクをかけている人も多く、それだけで危険人物とはいえない。
そうこうしているうちに、男は電話を終えて、駅に向けて歩き出した。それを追うように、『委員長』が電話で話しながら歩き出す。
僕は慌てて声をかけた。
「ちょっ、ちょっと・・僕の携帯電話」
『委員長』はそこでこちらに気が付いたようだ。
しかしすぐに駅に向かう男をの方を見る。気持ちは一刻も早く後を追いたいらしい。
気もそぞろで、こちらと話すゆとりは無さそうだ。
彼女は「また連絡する。」と言って電話を切ると、それを五百円玉と一緒に返してよこした。
そしてこちらの反応も見ず、一目散に改札に向かって走り去った。
僕は状況についていけず、ポカンと見送った。
もしかして、本当に強盗なのか?
あの様子、その表情に漂う緊張感。信じ難い話ではあるけれど・・・冗談とも思えない。
だとしたら、小学生の女の子が強盗犯を一人で追うなんて、そんな危険なことを見過ごすことができるのか?
そこまで考えたところで、僕は彼女の後を追って走り出していた。
男の姿はもう見えないが、『委員長』の後ろ姿は見える。
ホームにはモノレールが入ってきたようだ。
僕は乗り遅れまいとさらに速度を上げ、駅の構内に駆け込むとそのまま一段飛ばしで一気に階段を駆け上がり、ドアが閉まる寸前に車両に飛び込んだ。
さすがに膝が笑う。心臓が破裂しそうだ。
息をハアハアさせながら見回すと、『委員長』は男から距離を取って座っていた。
男に食い入るように視線を送っており、傍から見ると見張ってますと言わんばかりだ。
僕は『委員長』の前に立ったが、集中していてこちらに気づく様子すらない。
「あのさあ。」と声をかけると、彼女は「きゃっ」と小さな声をあげて振り向き、信じられないものでも見るようにこちらをまじまじ見た。それから「なんでついてきたの?」と呆れたように訊いてきた。
「あんな思わせぶりな態度取られてほっとけないだろ。なんだか、危ないことしてるみたいだし・・・。」
僕は非難するような口調で返した。
「そう、これは危険なことなの。だから帰りなさい。できれば警察にこのことを伝えて・・・。」
まるで年下の子に言い聞かせるように彼女が言う。
そして僕との話は終わったとでもいうように、視線をあの男に戻すと、真剣な顔で凝視する。
僕は子供扱いされたことに少しむっとして、「そんなに相手をにらみつけてたらすぐに気づかれるよ。」と言った。
「えっ?」
『委員長』は、僕の指摘に意表をつかれたようだ。こちらをぽかんと見上げてくる。
僕は誰かが網棚の上に放り出していった漫画雑誌を手に取ると、彼女の隣に座った。
今週号の「少年チャンプ」だった。
「こういうのを広げてさ。
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