前編
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?」とあたふたと振り返る。
「あなた、もしかして携帯電話を持っていない?」
「も・・持ってるけど・・・」
「いきなりで悪いんだけど、電話をかけさせてもらえない?お礼はするわ。」
我ながら強引な言い方だとは思うけど、ともかく今は時間が惜しい。
「それは・・・まあ・・・でもなんで・・・」
男の子は事態が呑み込めずに戸惑っている。
「ごめんなさい。説明しているヒマが無いの。」
こちらの緊迫した雰囲気が伝わったのか、彼はようやくポケットから携帯電話を引っ張り出した。
私はそれを慌てて受け取ると、すぐにお姉ちゃんの携帯電話にかけた。コール2回でお姉ちゃんが出る。
「お姉ちゃん?私・・・。」
「マコト!どうしたの? 店に戻ったらいないから心配したわ。今どこにいるの。」
お姉ちゃんが怒った声で言った。。
「待って!それより聞いて。あいつを見つけたの。お父さんが追っている強盗の一人。名前は大高だったはずよ。」
「えっ?なんですって?」
お姉ちゃんは意表を突かれたように訊きかえす。
「多分、間違いないと思う。はっきり顔を見たの。でも今はマスクにサングラスをかけてしまってるわ。」
話しながらも大高から目を離さずにいると、電話が終わったのか、大高は駅の方に向かって足早に歩き出した。
「今、ポートアイランド駅よ。モノレールに乗ろうとしてるみたい。警察に連絡を・・・。」
私は話しながら、その後を追い、駅に向かって歩き出した。
「ちょっ、ちょっと・・」
それまで横に立って茫然としていた男の子が、慌てたように声をかけてきた。
「僕の携帯電話!」
夢中になっててうっかりしてた。
「申し訳ないんだけど、しばらく貸してくれない?必ず返すわ。あなたの連絡先を教えて。」
「えっ、そんなこと言われても・・・。」
男の子はとまどった様子だ。この状況では当然のことだろう。見知らぬ相手にそこまでするわけがない。いくらなんでも強引過ぎたようだ。
これは、あきらめるしかないか・・・。
「それより今の話・・・強盗ってどういうこと?」
男の子が真剣な顔で訊いてくる。
一方、大高が改札に入っていくのが見える。このままでは見失ってしまう。これ以上話をしている暇はない。
「お姉ちゃん。追いかけるわ。また連絡する。」
「ちょっと、マコト・・・待ちなさ・・・」
お姉ちゃんの声を振り切って電話を切ると、男の子に五百円玉を添えて携帯電話を返した。
「ありがとう。使用料よ。」
それだけ言うと、私は慌てて大高を追って走った。
改札まで来るとホームに上がる男の後ろ姿が見える。急いでICカードで改札を抜けて後を追う。
ちょうどホームにモノレールが入ってくるところだった。
急いで階段を駆けあがり、なんとか大高が入ったのと同じ車両に滑り込むことができた。
車内は
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