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ペルソナ3 ケン と マコト
前編
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その顔には見覚えがあった。
連続強盗で手配を受けている男だ。確か・・・名前は大高。
土屋という男と2人組で高齢者の住まいを狙って犯行を重ねているらしい。最近の事件では高齢の男性に暴行を加えており、被害者は意識不明の重体となっている。犯人は既に2名とも特定され指名手配されている。それでも、どこかに潜伏しているらしくて未だに捕まっていない。
もちろん、私の見た男が人違いである可能性もあるのだけれど、すぐにマスクをしてサングラスをかけるという行動はあまりに怪し過ぎる。
(さて、どうしようか・・・)
今日、一緒に来たお姉ちゃんは、少し前に「用がある」と言って店の外に出たまま、まだ戻って来ていない。
大高と思われる男は、がっしりとした体格にグレーのシャツ、黒いズボンという姿。少し落ち着かない様子で何度か腕時計を確認している。やがてしびれを切らしたように席を立つと、会計を済ませ、店を出て行ってしまった。
私は一瞬迷ったものの、そのままにもしておけず、慌てて会計を済ませると男の後を追って歩き出した。お姉ちゃんには「後で連絡する」という伝言を店の人に頼んでおいた。
大高はポートアイランド駅の方に向かって足早に歩いている。
もう夏も終わりが近いが、日差しはまだまだ強い。それでも休日とあって人通りはそれなりに多かった。
なんとかチャンスを見つけて警察に連絡を入れたい。少し距離を取って後ろを歩きながら、私はその方法を考えた。
携帯電話があれば楽なんだけど、残念ながら私はまだ持たせてもらっていなかった。最近は共働きの家庭も多く、小学生でも携帯を持っている子は多い。うちはその辺、少し固いのかもしれない。
手配犯の尾行など、自分でも無謀なことをしていると思う。それでもこのチャンスを逃したくはなかった。
繰り返し弱い高齢者を狙って襲うという卑劣な行為がどうしても許せない。
犯行の全てが明らかになったわけではないけれど、既にかなりの金額を荒稼ぎしているはずだ。普段は温厚なお父さんでさえ、この犯人に対しては怒りをあらわにしていた。
男は駅の近くまで来ると、立ち止まって携帯電話をかけ始めた。
今が通報のチャンスだ。私はあたりを見回してみた。警官は見つからない。携帯電話が普及したため、公衆電話もめったに見かけない。
すぐ目の前の映画館には、宣伝用モニターで流している映画の予告編を食い入るように見ている半ズボンの男の子がいた。
彼が見入っているのは、現在公開中の戦隊ヒーローの劇場版のようだ。
見たところ年齢的には私と同じくらいのようだけど、この年になってもああいうものに夢中になれるんだから、男子って本当に子供だと思う。
私は彼に近づいていくと「ちょっといいかしら・・・。」と声をかけた。
「えっ?」
急に声をかけられて驚いたのか、顔を少し赤らめて「な・・何
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