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ヘタリア大帝国
TURN35 マレー侵攻の前にその九
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総統なのだ。
 それだけにだ。その仕事の量はというと。
「あの娘はまた特別だからね」
「少し休んで頂いた方がいいのでは」
「そうね」
 その通りだとだ。グレシアもドイツ妹の言葉を受けた。そうしてだった。
 こうだ。ドイツ妹に対して述べた。
「レーティアは仕事の量を減らさない娘だけれど」
「それでもですね」
「休憩時間、特に睡眠時間を増やすようにするわ」
「スケジュールの調整ですね」
「そうしましょう。レーティアあってのドクツだから」
「はい、そうですね」 
 ドクツはまさにそうだった。レーティア一人が動かしていた。そうした意味で究極の独裁国家なのだ。言うならばソビエトと同じなのだ。
「少しでも休んで頂いて」
「あと食事ね」
「総統は菜食主義者ですね」
「ええ。お肉もお魚も口にしないわ」
「ではどうされますか」
「料理の献立なら任せて」
 グレシアは確かな顔で微笑んでドイツ妹に答えた。
「そういうことも得意だから」
「宣伝相はお料理ができたのですか」
「女よ。それも独身の」
「だからですか」
「お料理をしないではいられないのよ」
 スーパー等で買って済ませることもできるがそれでは栄養が偏り尚且つ高くつく。グレシアは元々百貨店の店員、市井の人間なのでそうした経済感覚なのだ。
「だからよ」
「わかりました。ではそれも」
「とにかく。勤勉な娘だから」
 グレシアはここでは少し溜息を出した。
「ちょっと油断したらね」
「働き過ぎになりますね」
「ええ。そこが問題ね」
 こんな話をしてだ。レーティアの体調管理についても考えられてきていた。だがバルバロッサ作戦、ドクツの命運を賭けた戦いの前にそうも言ってはいられなかった。レーティアは働き続け休息の時はグレシア達が考えている様には取れなかった。
 ドクツは確かに邁進していた。しかしその邁進の柱の軋みは誰も気付かなかった。しかしその軋みは確実に表に出る時を待っていた。


TURN35   完


                           2012・6・19
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