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オゴメ
第四章

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「オゴメ以外に考えられないわ」
「そうですよね」
「まさか本当に聞くなんて思えなかったけれど」
「姿が見えないですね」
「そうね、このこともね」
「お話していた通りで」
 それでとだ、青空は良子に話した。
「こうした存在ですか」
「言うなら」
 良子はさらに言ってきた。
「妖精とか精霊という」
「そうした存在ですね」
「欧州で言うね」
「妖怪とそうした存在の区分は」
 どうかとだ、青空は良子に民俗学の知識から話した。
「実は、ですよね」
「曖昧というかね」
「大体同じものですね」
「そう、だからね」
「これは妖怪で」
「妖精とか精霊とかね」
「そう言っていい存在ですね」
 青空は今度は笑い声、高笑いを聞いた。それを聞いて言うのだった。
「まさに」
「そうよ、それで妖精や精霊の中にはね」
「姿がない存在もありますね」
「呼子というものもいるでしょ」
 この妖怪の話もだ、良子は青空にした。
「水木しげる先生は姿を描いているけれど」
「ご自身の漫画で」
「実際は探せど探せどいないわ」
「山の中で」
「そうした妖怪もいるし」
「山びこを妖怪と考えたものと言われていますが」
「そうした妖怪もいるし」
 日本ここで言う日本とは本土のことだ。
「だからね」
「この島にもですね」
「そうした存在がいるということでね」
「学んでおくといいですね」
「そういうことよ、それではこの島の他のこともね」
「フィールドワークをします」
「その意気よ、じゃあ付き合うわね」
 良子は美空に明るい笑顔で話した。
「今日は」
「有り難うございます」
「貴女も付き合ってくれたしね」
 良子のフィールドワークの時にというのだ。
「それに私もこの島について論文書く時があれば」
「フィールドワークになるからですか」
「それは私も同じだからね」
 それ故にというのだ。
「一緒に行きましょう」
「それでは」
 青空は良子の言葉に笑顔で応えた、そうして三宅島でのフィールドワークを続けた。オゴメの言葉を聞いた後のそれは実に楽しい学問だった。


オゴメ   完


                2019・11・21
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