第七章
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「あたしはそうした言葉はな」
「嫌いだよね」
「言われたくないんだよ、だから可愛いとかな」
「言わないで欲しいんだね」
「その言葉聞くと恥ずかしくてな」
やはり顔を真っ赤にさせたまま言う。
「死にそうになるんだよ」
「大袈裟だよ」
「大袈裟じゃねえよ、とにかくな」
「こうしたことはだね」
「もう言うなよ」
こう言うのだった。
「いいな」
「言ったらどうするのかな」
文哉は巨人のピッチャー交代を観つつ真理子に尋ねた。
「それで」
「怒るからな」
「今みたいにかな」
「そうだよ」
「じゃあまた言おうかな」
「何でそうなるんだよ」
「だって怒ったその顔も可愛いからね」
文哉はその真理子ににこりと笑って話した。
「だからだよ」
「だから可愛いって言うなよ」
「何度でも言うよ」
「言うなっつてんだろ」
真理子はまた顔から湯気が出んばかりになった、そうして文哉に言うがその距離はそのままだった。
そして巨人が横浜に三十三対零で見事二十連敗を達成したのを観てから彼と共に球場を後にしたが。
その時にだ、文哉に言った。
「また明日な」
「学校でだね」
「それで明日のお昼もな」
この時の話もするのだった。
「お弁当作って来るからな」
「そうしてくれるんだ」
「当たり前だろ、あたしこれでも料理好きでな」
それでというのだ。
「作って来るからな」
「じゃあ期待してるね」
「そうしてろよ、メニューも考えておくからな」
「そこも可愛いんだよね」
ここでもだ、文哉は真理子に笑って話した。
「本当に」
「だから言うなよ」
ここでもだ、真理子は顔を赤くさせて文哉に言い返した。
「可愛いとかな」
「だって本当に可愛いから」
「言うなって言ってるだろ」
「本当のことでもなんだ」
「駄目って言ったら駄目なんだよ、けれどな」
それでもとだ、真理子は顔を赤くさせたままバツの悪い顔になってそのうえで文哉に対して言った。
「またデートしような」
「うん、そうしようね」
二人でデートのことも約束してだ、そうしてだった。
二人は別れた、文哉は満面の笑顔だったが真理子の顔は真っ赤なままだった。だが文哉と別れた後のその顔は恥ずかしがりながらもはにかんだ笑顔であった。それはとても女の子らしい可愛らしいものだった。
いつもと違って 完
2019・12・17
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