第六章
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「だからな」
「その時も可愛いし」
「だから可愛いって言うなよ」
「僕嘘は言ってないよ」
「嘘でも言うなよ」
また顔を真っ赤にさせてだった。
真理子は文哉に抗議した、だが。
カラオケボックスに入るとそこでその可愛い声で上手に女性アイドルの曲やアニメソングを歌った。
そしてその後でだった。
時間になると球場に行って試合を観た、その試合を観ると。
巨人は初回からエラーと失投を連発しいきなり十五点取られた、真理子はその状況を観て満面の笑顔で言った。
「いいな、もうな」
「うん、一回でね」
「勝負決まったな」
「凄いね、巨人って」
文哉はその巨人のいつものミスを指摘した。
「初回からエラー三つでね」
「暴投も二つな」
「それで十五点失点とか」
「凄いよな」
「これで二十連敗は間違いないね」
「だよな、しかし本当に巨人弱いな」
「もうプロの域じゃないね」
そこまでの弱さだとだ、文哉はコメントした。
「これは」
「だよな、しかも打たないしな」
「打率一割台だしね」
「昔は球界の盟主って言ったよな」
「自称ね、実際九連覇もしたし」
日本プロ野球界最悪の暗黒時代である。
「二十回は日本一になってるかな」
「そこまで強かったのにな」
「驕れる人は久しからずだね」
文哉は平家物語の序文の言葉の一節も出した。
「本当に」
「そうだよな、完全に」
「まあ今日の試合もね」
「巨人は負けてな」
「横浜は勝つよ」
「いいことだよ」
「それと」
文哉は今度は自分の横にいる真理子を見て言った。
「真理子ちゃんって服装で仕草が決まるから」
「そうか?」
「学校の時はガサツな感じだけれど」
「家でもそうだぜ」
「ジャージかジーンズだから」
「もうな」
それこそというのだ、その仕草は。
「こんなのだぜ」
「そうなんだね、けれどね」
「それでもかよ」
「今はそうした女の子な服を着てるから」
それでというのだ。
「仕草も凄く女の子らしくて」
「そうか?」
「そうだよ、凄く可愛いよ」
「だから可愛いって言うなよ」
二回、筒香のグランドスラムが出たのを観つつだった。真理子はまた顔を真っ赤にさせた。見れば巨人のオーナー席でオーナーが怒り狂っている。まるでからっきり弱いチンピラが喚く様にそうしている。
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