第三章
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「そうするのかよ」
「そこで応援しようか」
「相手巨人だよな」
「今十五連敗中のね」
「あそこが連敗するのはいつもだけれどな」
毎年最下位だけあってだ、もう十年連続である。
「じゃあこっちもな」
「三連勝もね」
「あるよな」
「若し横浜に三連敗したら」
巨人、この戦後日本のモラルの崩壊と象徴するまさに邪悪の権化であるこの上なく忌まわしいチームがだ。
「もう二十連敗だね」
「だよな、あそこスター選手ももういねえしな」
「昔はいたけれど」
「皆メジャーとか他のチームに行ってな」
あまりにもフロントのゴタゴタが続き誰もが出て行ったのだ。
「そうしてな」
「もうね」
「誰もいなくてな」
「有望な選手がいても」
「すぐに怪我させたりやる気なくなったりな」
「育成失敗して」
「全然育たないしな」
そもそも育成を長年に渡って放棄してきた、その結果だ。
「監督もな」
「おかしな人ばかりでね」
「喜代原とか依藤とか元樹とかな」
「そんなのばかりで」
「碌な人材がいなくなって」
「今に至るから」
「本当に横浜にもな」
「三連敗することもね」
このこともというのだ。
「有り得るよ」
「じゃあその三連敗楽しみにしてな」
「行こうね、デートに」
「ああ」
真理子は文哉に応えた、この時までは彼女はありのままの彼女だったが。
家に帰るとだ、すぐに母に死にそうな顔で言った。
「母ちゃん、今度デートだからな」
「またかい?」
「ああ、まただよ」
その死にそうな顔で言うのだった。
「ちょっと教えてくれないか?」
「メイクは覚えただろ」
「ナチュラルメイクだよな」
「あんたはそっちの方が似合うからね」
「だからだよな」
「そっちでしてね」
メイクの方はというのだ。
「それで服もだよ」
「いつものじゃなくて、だよな」
「あんたいつも色気がないんだよ」
母は自分にそっくりの娘に言った、母娘でもよくここまで似るものだと思いながら。父親に似ている部分は髪の毛と肌の色や質位だとも。
「だからね」
「可愛くだよな」
「あんたの色気は服のせいだからね」
「それだよな」
「家じゃいつもジャージだから駄目なんだよ」
「そう言っても楽だろ」
ジャージだと、とだ。真理子は言い返した。
「それに外出しないならな」
「それでいいっていうんだね」
「そうだろ」
「その外出の時もジーンズだし」
「それも楽だからだよ」
「そういうのが駄目なんだよ、けれどそんなあんたに自分からコクって」
母は今度は文哉の話をした。
「交際するっていうんだから」
「文哉はかよ」
「偉いよ、それでそんな子に応える為にね」
「ちゃんと、だよな」
「メイクに髪の毛を整えてアクセサリー
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