第十二話「外交2」
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い。その事を考えれば断る理由など存在しなかった。
「……分かりました。貴国の提案を受け入れます。戦争の時はどうぞよろしくお願いします」
「勿論ですとも。観戦武官がいるのです。無様な戦争にはならないと約束しましょう」
西暦2020、中央暦1639/10/3グラ・バルカス帝国とアルゼンチン帝国は国交を樹立すると同時に不可侵条約を締結した。
そして2020、中央暦1639/11/4アルゼンチン帝国は神聖オーストリア・ハンガリー帝国と連名で列強パーパルディア皇国に宣戦布告した。この事実は東側世界に少なくない混乱と震撼を与えるのであった。
「アルゼンチン帝国と名乗る野蛮な国が宣戦布告してきたそうだな、カイオスよ」
「そ、その通りです」
パーパルディア皇国第3外務局長カイオスは頭を下げ皇帝の言葉に汗を流していた。子との発端は三日前に発せられた宣戦布告である。カイオスは情報収集の結果皇国監査軍は全滅しそれを行ったのがアルゼンチン帝国である事を掴んでいた。しかし、抗議しようにもアルゼンチン帝国はパーパルディア皇国との外交を打ち切って完全に撤退しており連絡の取りようがなかった。それならばと文明圏外国に頼もうとするが関わりたくないのか要求を断っていた。ロデニウス大陸以外の国はアルゼンチン帝国に対して警戒を強めていた。
特に大東洋諸国会議ではそれが顕著でありクワトイネ公国はアルゼンチン帝国に危険性は無いと必死に伝えたが全く聞き入れてもらえず挙句に参加国からアルゼンチン帝国の属国とみなされる程だった。
そんな訳でカイオスはアルゼンチン帝国につていの情報を全く持っていなかった。これからどうやって集めていくかを考えていた時に今回の宣戦布告である。しかも神聖オーストリア・ハンガリー帝国という訳の分からない国付きで。
「アルゼンチン帝国については把握していましたがどのような国なのかは未だ判明しておらず……」
「それは第3外務局の怠慢ではないかね?」
カイオスは皇帝の追及に何も言えなくなる。実際はいろいろと考えてきたのだが皇帝は明らかに怒気を含んでおり何か言い訳などしようものなら怒声が飛んでくるだろう。
「急ぎアルゼンチン帝国についての情報を集めよ。些細な事でも構わない。第1、第2もいいな?」
「「はっ!」」
必ずや滅ぼしてくれると皇帝が思った時であった。
「か、会議中に失礼します!飛行物体の大軍が向かってきています!」
パーパルディア皇国に情報収集の時間は既に残されていなかった。
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