三十三 誘い
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よ、と約束する彼らには確かに兄弟としての絆があった。
鍛錬で薄汚れた粗末な服を着ていても、人気のない山奥の狭い小屋で寝ていても、少年二人は幸せだった。
それが、木ノ葉の『根』の掟であり、感情を殺す鍛錬とシステムだと理解したのは。
最後に殺し合いをするように、ダンゾウに命じられた時だった。
「行け────俺の分まで生きろ」
『根』の最終試験。
それがいつまでもぬくぬくと兄弟として山奥の小屋で過ごせるものではない、とはわかっていた。
だからシンは『根』の最終試験まで病気のことはサイにもダンゾウにも知らせなかった。
最期に、サイを生き残らせる為に。
心を失くせば迷いはない。それが本当の強い忍びだ。
そういうダンゾウの考えによるものから、『根』の最終試験は、今まで仲良く過ごしてきた仲間を三日以内に殺した者だけが生き残るというもの。
だが、弟のように接してきたサイを殺すという考えなどシンには微塵も無かった。
むしろ弟を生かす為に、己の病気を利用し、何がなんでも最終試験まで生きて、刺し違えてもサイを生かそうと前々から決めていた。
それこそ、あのスケッチブックをあげた時から。
だが、もうその体力すら残っていないシンは自分の死期を悟り、うろたえるサイを諭す。
「自分のことくらい自分で始末する」
口から溢れる血を流し、痛みに圧し潰されそうになりながら、それでも猶動かぬ弟の身体を力いっぱい引き離す。
しかしながらそれはサイをほんの数歩退けただけだった。
「心を殺せ。でないといつかお前は任務に圧し潰されるぞ」
優しすぎる弟が『根』で生き残る為に、最期までサイの身を案じたシンは、泣く泣く己から離れてゆくサイを霞んだ視界の端に捉える。
地面に倒れ伏したシンは己の死よりもこれでやっと、根から解き放たれる事を喜んでいた。
(ああ…────でも、)
最期にお前の絵、見たかったなぁ…。
「あら。まだ死ぬには早いわよ」
死ぬ間際、巨大な蛇がシンの身体をしゅるりと巻き付いてくる。
今にも消えゆく命の灯。最後に力を振り絞ってシンは眼を開けた。
そこには蛇を携えた、かつてのダンゾウの部下が不敵な笑みを浮かべていた。
「────そこで俺は大蛇丸に拾われ、決して治らないと思っていた病気を治してもらったんだ」
様々な人体実験や不老不死の為に色々な研究を続けていた大蛇丸だからこそ、シンが治らないと悟っていた病気でさえ治すことができたのだ。
生き残った今、シ
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