第二章
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「何か」
「だからもうお祖母ちゃんだから」
「あまり動かないんだ」
「そうよ、昔は凄くよく動いたのよ」
「そんなに?」
「もう跳んだり跳ねたりしてね」
その頃のことを実際に思い出しながら息子に話した。
「凄かったのよ」
「そうだったんだ」
「けれどね」
「今はお祖母ちゃんだからなんだ」
「ああしてね」
「いつも寝ているんだ」
「動いてもゆっくりなの」
そうなっているというのだ。
「そうなのよ」
「それがソラなんだね」
「皆そうよ、若い時は健康でね」
それでというのだ。
「身体もしっかり動いて病気もしてないけれど」
「お祖母ちゃんになったら」
「身体もあまり動かなくなってね」
「病気もするんだ」
「お祖父ちゃんとお祖母ちゃんもそうだったのよ」
今度は自分から見て両親、息子から見て祖父母である二人のことを話した。二人共まだ還暦前であり働いているがだ。
「昔はもっと元気だったのよ」
「お祖父ちゃんもお祖母ちゃんも」
「お祖父ちゃんも腰がよくて」
今はよく痛いと言っているがだ。
「お祖母ちゃんも膝や肘がね」
「よく痛いって言ってるね」
「そうじゃなかったのよ」
「そうだったんだ」
「そう、昔はね」
「お祖父ちゃんとお祖母ちゃんも健康だったんだ」
「何処も痛くなくて」
自分が小さい頃に見た両親のことを話した。
「よく動けたのよ、お祖父ちゃんはサッカー部で」
「サッカーしてたんだ」
「お祖母ちゃんはテニス部だったのよ」
「二人共そんなスポーツしていたんだ」
「そうだったのよ」
両親がそれぞれ言うにはだ。
「昔はね、けれどね」
「それでもなんだ」
「歳を取ってね」
「今はなんだ」
「そうなのよ」
「じゃあ僕も歳を取ったらそうなるの?」
健一郎は母にその大きな黒目がちのあどけない顔で母に尋ねた。
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