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真恋姫を駆けた男
母の死
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狼side〜
「・・・・・・・・・・・」


ゆっくりと俺は歩み寄る。
片手には『七つ夜』と書かれた短刀を持ちながら・・・。
豪族は調子に乗っているせいか気が付かない、この場が一人の少年から溢れるほど滲み出る“死”のオーラで包み込まれていることを。
少年の顔を長く見てきた者しか・・・いや、それすら分からないかもしれない。
少年の眼が“真紅”から“蒼”に変わっていたことを。


「・・・・・殺す」


この呟きを聞きとれた者はどれほどいようか。
すでに真紅狼は姿を消していた。


気が付いた時には、豪族の目の前にいた。


「・・・斬る」


――閃鞘・七夜――


「・・・ハハッ・・ハ?」


ザシュ!


「ぐぁ!?」


そこからの光景は酷いものだった。簡単に人を殺せるほどの力があるのにそれをせず、豪族を嬲っていた。


「ぎゃああああ!!!」
「・・・・・・・・・」


もうすでに男の姿は満身創痍だった。
至る所に切り傷があり、全身から血が流れ出ていた。
しかも、片足のアキレス腱を切っており、まともに動けるものではないのに真紅狼の嬲りは止まらず、もっと加速していった。
・・・が、すでにコイツに興味が無くなったのか、仕留める気だった。
だが、そこに歯止めをかけたモノが居た。


「止めろ、真紅狼!」
「・・・・・・・・」
「彗琳はそんなことを望んでいないハズだ!!」
「・・・・・・・そんなこと俺には関係ない。俺が殺したいから殺す。ただそれだけだ。」
「・・・義兄さん」
「・・・・」
「義兄さん、もう止めてください。母上も怒ってくれたことには感謝してるはずです。」
「・・・・・・・(スッ」


真紅狼は構えてた短刀を降ろし、元に戻った。


「分かった・・・止めにしよう。・・・だが、ケジメは付けさせて貰う。」
素早く短刀を構え、痛みに呻いていた男の元に突っ込んだ。


「極彩と散れ・・・・」


たった一瞬だったが、その間の出来事は真紅狼本人しか知らない。
ただ、違ったとすれば、真紅狼の立ち位置だけだが、そのあと事が動き出す。


ゴトッ・・・・


「「「「「え?」」」」」
「ぎゃああああああああああああ!!!!」
あまりの痛みにのたうちまわっている豪族。


「受け取れよ、アンタへの手向けの花だ」


真紅狼はそう言い残し、壁によっかかっていた。


「お、俺の腕があああああああ!!」


豪族の右腕は綺麗さっぱり両断されていた。
真紅狼は豪族とすれ違った際、肩の付け根からバッサリと「死の線」をなぞって斬ったのだ。
その腕は二度と使い物にならないように。


こう
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