揺籃編
第九話 伝説の始まり
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こういう事はちょくちょくあるんだ。これが本国なら降任ものだよ」
確かに帰艦遅延は懲罰ものだ。それが緊急出港時の帰艦遅延ともなると…。
つくづく私は軍隊組織に向かない…しかし忘れていたのは少しひどくないか?組織から弾き出されようとしているのだろうか?
「緊急呼集、緊急出港が多いからね。遅れた者をその都度懲罰にかけていたら一番困るのは指揮官たちさ」
「何故です?」
「自分達の管理責任を問われるからさ。帰艦遅延は多い時で百人単位で出るんだ。そんなこと報告してみろ、大問題だよ。部下をきちんと管理できているのか、ってね。当然出世にも響く」
「はあ、なるほど」
「本国がまったく知らない訳じゃない。緊急出港に遅れた者は艦隊の地上司令部で勤務することになっているんだ。一種の避難措置さ」
「…勉強になりました」
正面の大型ディスプレイには現在の戦況が映し出されている。ヴァンフリートを突破した味方本隊が、第3分艦隊と交戦中の敵側面を突いた。本隊から別れた第1分艦隊がそのまま敵後方を遮断、三方向から敵を半包囲…。
味方が優勢とはいえ、完璧な布陣だ。しかしこのイゼルローン回廊入口に現れた二千隻程の新たな敵影、彼らの意図をどう見るか…
「ヤン中尉、補給艦の準備だ」
「補給艦、ですか?」
「そうだよ。どうなるか分からないからね。せめてアスターテまでは進出させとかないと」
「しかし護衛に回せる艦がいませんが」
「第2分艦隊に護衛要請を出す。現在アルレスハイムには敵がいない、通常の哨戒に戻ってもらって、第2分艦隊主力にはアスターテに戻ってもらおう」
「了解しました。手配の準備にかかります」
やれやれ、地上勤務といっても暇はないか。…補給艦の手配…どうすればいいんだっけ…やれやれ…。
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