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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
揺籃編
第九話 伝説の始まり
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れでも倍以上の兵力で包囲するのだ、完全勝利だろう。

 

6月6日19:00 アルレスハイム星系、エル・ファシル警備艦隊第2分艦隊、旗艦アウストラ
ヤマト・ウィンチェスター

 ヤンがいた。若かったなあ…じゃない、近いうちに『エル・ファシルの奇跡』が起きるんだ。どうやって起こすんだろう?顛末は知ってても、フレデリカとヤンの出会いがあることは知ってても、経過が分からない…てか下手したら帝国の捕虜だ、それは困る。早くエル・ファシルに戻らないと…。
「ウィンチェスター曹長、どうしました?」
「あ、いや…ウィンチェスターでいいですよ、エアーズ兵曹」
「そうかい?でも一応上官になってしまったからねえ」
「新人には変わりないし、呼び捨ての方が気が楽ですよ」
「そうか。じゃウィンチェスター、どうかしたかい?」
「何でもないですよ…ていうか、いつまでここにいるんですかねえ」
「そりゃ…終わるまででしょうねえ。なんか用事でもあるのかい?」
「いや、まあちょっと…」



6月6日16:50 イゼルローン前哨宙域、エル・ファシル警備艦隊、旗艦グメイヤ
アーサー・リンチ

 「参謀長、降伏を勧告しよう、これ以上は無意味だろう。オペレータに敵と回線を…どうした?」
「これは…!イゼルローン回廊入口より帝国艦隊と思われる反応です!数は…数は約二千!」
「…増援か!参謀長、命令…正面の敵への攻撃を中止、第1分艦隊をこちらに合流させろ。第3分艦隊は攻撃中止後現位置を維持。…オペレータ、新しい敵集団との距離は?」
「はっ、失礼しました、新しい反応との距離、およそ七百光秒です!」
正面の敵が退いていく。約百隻。集団としてはそれなりだが、戦力としては数には入らないだろう。
「参謀長、あの敵の目的は何だと思う?」
「劣勢な味方の救援、だと思われます。数はこちらより優勢ですが、戦えない程の兵力差ではないとは思われますが」
「参謀長は戦いたいかね?」
「むざむざ合流させるのも興醒めとは思います」
「嫌がらせの攻撃を行う、と言うことか?」
「敵を撃破する機会を惜しまぬ、と仰って頂きたいものですな」
「物は言い様だな。よし、先ほどの命令を変更…第3分艦隊はそのまま微速前進、第1分艦隊の左翼に着け。第1分艦隊は現座標を維持、反転し逆撃態勢を取れ。本隊は陣形を再編しつつ三時方向に転回、横陣形を取る、急げ!」



6月6日18:30 エル・ファシル、自由惑星同盟軍エル・ファシル基地、警備艦隊作戦室
ヤン・ウェンリー

 「君も災難だったな、着任早々置いてけぼりを食らうとは…まあ君の場合は艦隊司令部が君にメール送信を忘れていたからなのだがね」
「はあ、申し訳ありません」
「これは仕方ない。まあでもエル・ファシルでよかったよ、
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