第4章 夏色溢れる林間学校
第77話『夏のはじまり』
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くられ、今日の学校生活は終わりを迎えた。
*
「えぇ〜海で遊べるの〜? いいないいな〜!」
「智乃はまた今度な」
「ズルい〜!」
時は夕食を終えて、晴登が智乃に林間学校について話をしたところだ。彼女はぴょんぴょんとしながら嫉妬を顕わにしている。
「お兄ちゃんと海に行きたい〜! 結月お姉ちゃんだけズルい〜!」
「ごめんねチノ。でもこればっかりは仕方ないから」
駄々をこねる智乃に結月は穏やかに対応する。だが、その表情が若干ドやってるように見えるのは気のせいだろうか。気のせいだと思いたい。
「くっ、こうなったら無理やりついて行くしか…」
「ダメだ。大人しくしてろ」
「ぶー」
ぶーたれる智乃を見て、晴登はやれやれと嘆息する。
友達との旅行ならまだしも、さすがに中学生の行事である林間学校に小学生の智乃を連れて行くことは不可能だ。こればっかりは我慢してもらう他ない。
「…お土産買ってこないと許さないからね」
「いや俺悪くないだろ。そもそも、林間学校にお土産とかあるのか…?」
「ふーんだ」
代案に疑問を持つ晴登をよそに、智乃は立ち上がり、さっさとお風呂に向かってしまった。
納得はしてくれたみたいだが、これはしばらく口を聞いてもらえなさそうな雰囲気だ。
「…チノは寂しがり屋だね」
結月がポツリと呟いた。
確かにそうかもしれない。両親がいつも外出しているから、智乃は常に晴登と共に過ごし、そして頼れる兄として慕ってきた。だから晴登がいない時、彼女がとても寂しがるのは想像に難くない。
「全くだ。これじゃ、 いつまで経っても独り立ちできそうにないな」
「ん、それだと困るなぁ。ボクとハルトの2人きりの生活ができなくなっちゃう」
「な…!?」
いきなりの堂々たるプロポーズ。その不意打ちには、晴登も顔を真っ赤にして照れてしまう。
しかし結月は、その様子に気づかないまま立ち上がって、
「さて、ボクもチノと一緒にお風呂に入ってこようかな。お姉ちゃんが機嫌をとってあげなきゃ」
そう言い残すと、結月もまたお風呂へと向かっていってしまった。もうすっかり、智乃のお姉ちゃん気取りである。
そして部屋に一人取り残された晴登は、大きくため息をついた。
「どうしたんだよ俺…」
頬の熱が未だに引いてくれない。
今までなら冷静に一蹴していたはずなのに、ここ最近やけに結月の言葉に過剰に反応してしまう。一体どうなってしまっているのだ。
「これがいわゆる・・・」
そこまで呟きかけて、止める。この先を言うのは、何だかこっ恥ずかしい気がした。
晴登は首を振
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