第4章 夏色溢れる林間学校
第77話『夏のはじまり』
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ろう。
「いいじゃん、暁君も行こうよ。ね?」
「何だよ、行きたい奴らで勝手に行けばいいだろ。自由参加なんだろ? だったら参加しない権利も俺にはあるはずだ」
「そうだけどさー」
無理強いは良くないとわかっているが、やっぱり友達と行事を楽しみたいと思うのだから仕方ない。特に伸太郎とはこれからも関わりが多いだろうから、もっと親睦を深めるチャンスでもある。
「行こうよ行こうよ〜」
「やめろ、プールに引きずり込もうとするな!」
「行こうって〜」
「わかった、わかったからそれ以上引っ張るな! 気持ち悪い!」
「酷い!?」
晴登が甘えるように伸太郎の腕を引っ張っていたら、彼はようやく首肯した。その代償として、罵声を浴びせられた訳なのだが。
確かに、男が男にそうしても誰得の絵面なのかわからない。ちょっぴり反省だ。
「柊君はどうするの?」
「え、僕?! えっと、行ってはみたいけど…」
伸太郎と同じくプールサイドに座っていた狐太郎にも、晴登は声をかけた。彼は相も変わらずパーカーで顔を隠している。
今の返答だと、行かない可能性の方が高そうだ。
「柊君も行こうよ。絶対楽しいって」
「うーん…」
人と関わるのを極端に避けていた彼には、少し荷が重い話だろうか。しかしこの機会を逃すのは惜しい。集団生活に慣れるチャンスなのである。それがわかっている彼は、うんうんと唸り続けていた。
「だったら一緒に行動するからさ。ね?」
「…三浦君がそう言うなら」
口から出まかせな提案だったが、何とか受け入れてくれたようだ。とはいえ、狐太郎ともっと会話する機会が欲しかったから、これはむしろ望ましい結果である。
「よっし!」
晴登は勧誘が成功して、喜びに小さくガッツポーズをとるのだった。
*
「林間学校? そういやあったなそんなの」
「懐かしいわね〜」
今日の授業も終わり、今は部活タイム。晴登は林間学校について、終夜たちに訊いていた。
ちなみに、伸太郎や2年生の方々はもう既に帰ってしまったので、今は晴登に結月、終夜と緋翼の4人しかいない。
「それで、林間学校ってどんな感じなんですか?」
「どんなって言われても、海で遊んだり、山でスタンプラリーしたり、夜は肝試しとか花火があった記憶しかないが・・・」
「めちゃくちゃ面白そうじゃないですか! 楽しみだな〜」
「確かに、楽しいのは本当ね。ただ、ちょっと癖が強いけど…」
晴登は、終夜の答えに目を輝かせてワクワクする。
ただ一方で、苦笑いしている緋翼の言葉も気になった。この学校の行事に癖があるのは、先日の肝試し
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