第4章 夏色溢れる林間学校
第77話『夏のはじまり』
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夏休み。
それは誰もが心躍らせる、魅惑の休暇。そして子供にとって、最高の思い出の1ページになる期間だ。夏祭り、海水浴、スイカ割り・・・楽しみを例に挙げるとキリがない。
そしてここにも、そんな夏休みを心待ちにしている者たちがいた。
「なぁ晴登、聞いたか? 林間学校の話」
「え? いや、聞いてないけど。あるの?」
その話題が出たのは、水泳の授業の自由時間の時だ。プールに揺蕩っていた晴登に、大地が嬉々とした様子で言う。
「あるある。先輩が言ってたんだ。1年生は夏休みの間に、2泊3日で自由参加の林間学校があるって」
「これまた盛大な行事だなぁ」
またイベントかと、考えるだけで既に気疲れするが、しかし夏休みなんだから、イベントがあるのも当然といえば当然だ。よく考えると、今回は学校関係の行事だから、さすがに魔術云々が絡むことはないのではないか。
これは久々にゆっくりできそうな機会の予感。
「もちろん行くよな?」
「当たり前だ!」
「お前ならそう言うと思ったぜ」
そうとわかれば、晴登は単純だった。最近物騒なことに巻き込まれ続けて、ようやく手に入る日常だ。エンジョイせずしてどうする。
大地のニカッとした笑顔につられ、晴登も笑みを返した。
「なになに〜? 2人でニヤニヤしちゃって〜」
「何の話してるの?」
すると、その様子を見た莉奈と結月が声をかけてきた。
大地は二人にも同じ質問をする。
「林間学校の話だよ。二人は行くの?」
「あぁそれね。私はもちろん行くよ!」
予想通りだが、莉奈は行く気満々だ。
というか、逆に行きたくない人なんているのだろうか。こんなに楽しそうな行事なのに。
「結月ちゃんは?」
「リンカンガッコウ・・・が何かはわかんないけど、ハルトは行くの?」
「え、行くよ?」
「じゃあボクも行く!」
「おぉ、ブレないねぇ」
これもおおよそ予想はできていたが、それ以前に何だか気恥しい。大地も莉奈もニヤニヤとこちらを見つめてくる。
全く、結月はもう少し考えて発言して欲しい。
「それじゃこのメンツは参加決定だな。他の奴らにも訊いてみよっと」
「あ、じゃあ俺も・・・」
大地がそう言ったから、晴登も個人的に気になる人に訊いてみることにする。
「林間学校? 行く訳ねぇだろ。めんどくせぇ」
いた。林間学校に行きたがらない人がここにいた。もっとも、これに関しても予測のついたことだ。プールサイドに腰を下ろしている彼、伸太郎がこういったキラキラとした行事に参加したがるはずがないと。あ、これは別に馬鹿にしている訳ではない。そういう人もいるだ
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