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雲に隠れた月は朧げに聖なる光を放つ
第九話 シアとミーナ
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‥あそこか。了解」

固定脚‥‥ではなく収納した脚をボタン一つで取り出す。固定脚なら便利なのだが、速度がどうしても落ちてしまうので断念した。別に旋回能力は下がらないのになあ‥‥。

ギャッ! キィィイ!!

ブレーキをかけて機体を止める。と、同時にシアが家族たちの元へ走っていった。

「みんな〜、助けを呼んできましたよぉ〜!」

「「「「「「シア!?」」」」」」

「みんな!無事でしたか!」

「「「「「ミーナ!?」」」」」

「シア!ミーナ!二人共無事だったのか!」

「父様!」

「父様‥‥‥すみませんでした」

真っ先に声をかけてきたのは、濃紺の短髪にウサミミを生やした初老の男性だった。はっきりいってウサミミのおっさんとか誰得である。シュールな光景に微妙な気分になっていると、その間に、シアとミーナに父様と呼ばれた兎人族は話が終わったようで、互の無事を喜んだ後、俺たちに向き合った。

「コウ殿と蜂起殿で宜しいか? 私は、カム。シアとミーナの父にしてハウリアの族長をしております。この度はシアのみならず我が一族の窮地をお助け頂き、何とお礼を言えばいいか。しかも、脱出まで助力くださるとか……父として、族長として深く感謝致します」

「まあ、何かの縁だ。最後まで強力するさ。まあ樹海を案内するという条件付きではあるけど‥‥」

そう、俺たちはシアとミーナに助ける対価として、樹海の案内を頼んだのである。

「それより、随分あっさり信用するんだな。亜人は人間族にはいい感情を持っていないだろうに……」

カムは、それに苦笑いで返した。

「シアとミーナが信頼する相手です。ならば我らも信頼しなくてどうします。我らは家族なのですから……」

「「お、おう‥‥」」

なんとも微妙な気分になる。もしかしたら兎族自体チョロい種族なのかもしれない。ハウリアだけかもしれないが‥‥‥。

「それより、帝国兵はどの辺りにいる?ついでに蹴散らしたいのだが‥‥」

蜂起がなんとも物騒な、しかし格好良いことを言う。ミーナに良いとこ見せたいのかもしない。

「帝国兵でしたら、こちらの方です。ここから脱出するなら、どちらにしろ通らないといけないですね‥‥」

「構わないさ。俺たちは少し腕に自信があるんでね。簡単にはやられはしない」

「それなら安心です。では、案内しますので着いてきてください」

そう言うとハウリアたちが歩き始めた。

「ハジメ、ドンナーとシュラークを」

「あいよ。コウもツェリスカを」 

「コウ‥‥」

「なんだユエ」

「‥‥おんぶ」

「は?」

「おんぶ」

「おんぶって‥‥‥ああ、構うってことか」

さり気ないユエのアピールに思わず苦笑
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