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雲に隠れた月は朧げに聖なる光を放つ
第五話 最愛との再会
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さか忘れたとか?」

長い間幽閉されていたのならあり得ると聞いてみるが、どうやら違うらしい。その証拠に首をふるふると振る。

「もう、前の名前はいらない。……みんなの付けた名前がいい」

「ええ‥‥?名前かあ‥‥俺には思いつかんぞ。みんな何かないか?」

「あ、それなら俺に良いのがある」

と、ハジメ。

「ユエ≠ネんてどうだ? ネーミングセンスないから気に入らないなら別のを考えるが……」

「ユエ? ……ユエ……ユエ……」

「ああ、ユエって言うのはな、俺の故郷で月≠表すんだよ。最初、この部屋に入ったとき、お前のその金色の髪とか紅い眼が夜に浮かぶ月みたいに見えたんでな……どうだ?」

思った以上にちゃんとした理由があった。

「いいじゃんか。ユエって」

「ん‥‥ユエ‥‥いい。今日からユエ」

「ま、とりあえずユエ。外套着ろ。裸じゃ色々不味いんだわ」

「‥‥‥‥?!」

「ほれ、早く」

「‥‥コウのエッチ」

「ええ‥‥」

聖に助けを求めようと思ったが止めた。だってニヤニヤしてるんだもん。

「とりあえず‥‥」

俺はツェリスカを真上に向ける。

ドガアン!!

「ギャアア!?」

ドサリ

上から何か落ちてきた。落ちてきたソレは、体長五メートル程、四本の長い腕に巨大なハサミを持ち、八本の足をわしゃわしゃと動かしている。そして二本の尻尾の先端には鋭い針がついていた。一番分かりやすいたとえをするならサソリだろう。二本の尻尾は毒持ちと考えた方が賢明だ。

「とりあえず四人で抑えてくれ。俺はユエを回復させる」

「はいよ」

「よっしゃ」

「任せてとけや」

「コウ、急いでね?」

「分かってる。ユエ、俺の血を吸え」

「‥‥‥‥!?」

「お前、吸血鬼なんだろ?神水でもある程度は回復するとは思うけど、やっぱり血が一番だろ?」

「‥‥‥‥ん‥‥分かった。コウ、怖がらないで‥‥」

そしてユエが俺の首筋にキス‥‥いや、噛み付いた。チクリと痛みが走るが、我慢する。ついでにサソリモドキの様子を見る。
どうやら非常に高い装甲を持ってるようだ。チート四人の攻撃を喰らっても装甲にかすり傷しか見えない。

「とりあえず目くらましも兼ねて‥‥」

俺はツェリスカの弾を鉛玉から榴弾に換装する。榴弾は着弾すると爆発するので、目くらまし兼攻撃として使えるのだ。やるつもりはないが、民家にぶち込めば火事が起こること待ったなしである。

ドガアン!ドガアン!!

発砲。さらに‥‥‥

ボンッ!!

爆発した。火だるまになるサソリモドキ。と、その時。ユエの吸血が終わったらしい。口を離した。どこか熱に浮かされたような表情で
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