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雲に隠れた月は朧げに聖なる光を放つ
第四話 奈落の底
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「あ、あ、ぐぅうう、れ、錬成ぇ=I」

壁を錬成し、穴を開けた。そこに転がり込むハジメ。爪熊は獲物を逃したことで怒り心頭だ。ハジメが転がり込んだ壁を爪でガリガリと削る。よくよく見ると、風を纏っているように見える。

「蜂起!爪熊の記憶からハジメのことを消せ!」

「よし!消去=I!」

ノータイムでノートに書き込み発動させる蜂起。ノートが眩い光を放つ。爪熊が大人しくなるのを感じる。そのままノシッノシッと立ち去る音も聴こえた。

光が収まると、爪熊の姿は既になかった。ハジメが錬成で作った穴は、爪熊によって封鎖されてしまっている。

「くそっ‥‥ハジメ」

「おい、あまりボケっとしてられないぞ!早く探そう!」

「錬成で作った穴辺りを破壊していけば辿り着くんじゃね?」

蜂起の言葉で俺は閃く。先程まで貯めていた、風力を存分に使おうと思ったのだ。

「いつまでもベルト、じゃかっこ悪いな‥‥。よし、タイフーンにしよう。タイフーン、エネルギー解放!」

俺はベルトにタイフーンという名前をつけ、エネルギーを解放した。

ガシャンッ!!

目が光る。力も溢れてくる。

「行くぞおお!どりゃあ!!」

思いっきり拳を奮う。

バギッ! バラバラ‥‥

壁が粉砕される。俺はこの作業をひたすら続けた。全ては、白崎が悲しまないためにも‥‥。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ハジメを探し始めてから十日目。中々ハジメは見つからなかった。壁を壊し、血の跡を探し、三人がぶっ倒れそうになるまで探したが、見つからなかった。それでも‥‥。

「それでもお!」

俺は叫び、再び壁を破壊する。すると、開けた場所に出た。その時‥‥

「ひぃぐがぁぁ!! なんで……なおらなぁ、あがぁぁ!」

「?!!」

何者かの声が聴こえた。声と言うより絶叫だが。

「これだ!急ぐぞ!」

俺はその声がハジメのものだと信じて絶叫に向かって走り出した。

「ハジメ!いるなら返事しろお!ハジメェ!」

叫ぶ。声が枯れるぐらい叫ぶ。すると、答えが返ってきた!

「だ、誰だあ?俺を呼ぶ人は!」

「お、俺?‥‥まあいい、ハジメ!俺だ!緋鷹だ!」

「な、緋鷹?!」

「‥‥‥!いた!!」

俺はようやくその姿を捉えた。俺の知らない人だ。白髪で、筋肉が発達している。が、俺は思った。こいつは、南雲ハジメだと。

「ハジメ‥‥ハジメか?」

「う、嘘だろ‥‥まさか会えるなんてな」

「こっちのセリフだ!ていうかその髪はどうしたんだよ」

「ああ、これか?これはな‥‥」

ハジメから説明を聞く。どうやらハジメは、飢餓感に耐えきれずに魔物を食したらしい。
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