第四話 奈落の底
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他の人の様子を確認できるほど余裕はない。俺はウサギと狼を同時に相手する。ウサギは発達した脚で、強烈な蹴りを放ってくる。護身術で上手く受け流しているが、並の人間が喰らったら一発で骨折する威力だ。
「セイッ!」
ドガア!!
ウサギを蹴り飛ばす。そこを見計らっていたかのように狼が突っ込んできた。身体に電撃を纏っているのが確認できた。
(ベルトの風車で吸収‥‥できるか?)
俺はタイフーンで電気を吸収できるか試してみる。すると‥‥。
シュルルルルルルルル‥‥‥
二尾狼の電気が全てベルトに吸収されてしまった。風と同じく蓄えた分だけ引き出せるみたいだ。この分なら火や水でも吸収できそうである。
「便利だな‥‥とりあえずトドメ」
ドパンッ!
二尾狼の頭を撃ち抜く。流石改造エアガン。一発で狼を殺した。一応弾は鉛の弾だ。他にも炸裂弾である榴弾や、拡散弾もある。
ドパンッ!
別の方向から物凄い音が聴こえた。俺以外に銃を持っている人はいなかったはずだ‥‥。
嫌な予感がしてそちらを振り向く。すると、そこには左腕をダランとしているハジメがいた。見ればウサギ二匹と相手している。おそらく連携でヤラれたんだろう。
(不味い‥‥少し無茶させすぎたか)
ドパンッドパンッ!
引き金を引きウサギを絶命させる。見れば拓人と蜂起も殲滅を終えたらしい。とりあえず俺はハジメの腕に巻き戻しをかけようとしたが‥‥。
突如現れた風の刃に邪魔をされた。
「ッ‥‥今度はなんだ!」
唸り声が聴こえる。先程の魔物とは桁違いの威圧感だ。そちらの方を振り向く。そこには‥‥。
その魔物は巨体だった。二メートルはあるだろう巨躯に白い毛皮。例に漏れず赤黒い線が幾本も体を走っている。その姿は、たとえるなら熊だった。ただし、足元まで伸びた太く長い腕に、三十センチはありそうな鋭い爪が三本生えているが。
その爪熊が、いつの間にか接近しており、ハジメを睨みつけてたのだ。その瞳は、完全に獲物を見る目だった‥‥。
「うわぁああーー!!」
意味もなく叫び声を上げながら折れた左腕のことも忘れて必死に立ち上がり爪熊とは反対方向に逃げ出す。
「「「ハジメ!」」」
「くそ、時止を‥‥ってあの距離じゃ届かない!」
轟。と一閃。俺の目には、ハジメの左腕が切り飛ばされるのが見えた。
「ヤバイ‥‥あのままじゃ失血死する!」
俺は咄嗟にハジメへ巻き戻しをかける。が、それを爪熊は許さなかった。傷が半分も塞がらないうちに、追撃をかましてきたからだ。時止と巻き戻しは同時には使えない。俺は咄嗟にエアガンを爪熊に撃つ。
ドパンッ!!
爪熊が一瞬だけ怯んだ。その隙を見たのか、ハジメが壁際まで走る。
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