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ULTRASEVEN AX 〜太正櫻と赤き血潮の戦士〜
4-3 非道なる刹那
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帝都中央区、築地。
その河口付近の廃屋街は混乱に満たされていた。
絶望と恐怖の悲鳴が轟き、それを脇侍たちが暴れまわってさらに煽り立てていく。
「付近の住民の避難を急げ!誰一人逃げ遅れがない様にしろ!!」
現場には、マスクで素顔を覆い、黒いボディスーツで身を纏った男性の部隊が、現地の避難誘導を行っていた。
この部隊は、帝国華撃団・月組。普段は黒子として花組の舞台を裏で支える裏方役の一つなのだが、各地に派遣され敵地への偵察と情報収取を行うのが本来の任務だ。
今は、花組が到着するまでの間の現地の住民の避難誘導をしている。
当然ながら、奏組がそうであるように、月組も十分な霊力を持っていないので光武を操縦できないので、戦闘面においては花組が現れるまでの時間稼ぎを行い、可能な限り被害を最小限にとどめていた。
「オンキリキリバサウンバッタオンキリキリバサウンバッタオンキリキリバサウンバッタオンキリキリバサウンバッタオンキリキリバサウンバッタオンキリキリバサウンバッタオンキリキリバサウンバッタオンキリキリバサウンバッタ…」
築地本願寺。
そこに、黒之巣会の死天王の一人『蒼き刹那』が怪しげな呪文を詠唱していた。目の前には彼の巨体よりもさらに大きな楔が地面に突き刺さっている。
脇侍たちには、帝国華撃団に儀式の邪魔をされぬよう適当に暴れさせている。その間に楔を打ち込んでいた。
楔は、刹那が怪しげな呪文を唱えている間に、地中深くへと沈められていった。手早く楔を打ち込んだ刹那は、ある廃屋の屋根の上から、脇侍たちが現地の住民を追い回すのを、月組が住民の避難をしつつ脇侍たちと対峙している様を観察し始めた。
「……あーあ、なんかつまんないや」
月組では、一体倒すだけでも数人がかりなうえに苦戦を強いられていた。すでに何人もの負傷兵が出つつある。刹那はそれを見て退屈そうにあくびした。
「あの程度の弱い連中じゃ、腕の比べっこは期待できないね。だって弱すぎるもん。僕一人で真正面から出向いても勝てそうだけど、あんな雑魚なお兄さんたちと馬鹿みたいに戦っても面白くないしなぁ…」
刹那は脇侍たちの戦闘に目もくれなくなり、帝都の方面を眺め始める。
「早くおいでよ、帝国華撃団のお姉さんたち……」
たっぷり、いたぶってあげるからさ…
赤く染め上げている鋭利な爪を舐めながら、待ち遠しそうに刹那は待ち続けた。
大帝国劇場地下。帝国華撃団本部・作戦指令室。
「全員揃ったか?今から作戦会議に入る」
米田が、大神たち花組が揃っているのを確認すると、風組隊員服姿のかすみたちから現地の現状が伝えられる。
「現在、築地廃屋町の築地本願寺を中心に脇侍による破壊活動が確認されました!」
「先行している月組が脇侍のけん制と住民の避難誘導が行われております!」
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