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ULTRASEVEN AX 〜太正櫻と赤き血潮の戦士〜
4-3 非道なる刹那
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いけないって」
抵抗するさくらだが、蒼角はびくともせずさくらの光武をがっしり掴んだまま放さない。そのまま後ろに下がり、河川の方へと歩き出す。
「でもここまで楽しませたご褒美に教えてあげるよ。
僕は…黒之巣会死天王…蒼き刹那。また遊ぼうね♪」
刹那は最後に花組に自己紹介を済ませ、彼を乗せた蒼角はさくらの光武を捕まえたまま川に飛び込んで逃走した。
「この変態チビ助!待ちやがれ!あたいと勝負しろ!」
「カンナさん、光武に防水機能はありませんのよ!」
カンナも川に飛び込んで追跡しようとするも、すみれに引き留められた。光武に乗ったまま川に入れば確実に沈んでしまい、すみれの言う通り追撃など不可能だった。
「…く…」
マリアは立ち尽くしていた。刹那は、自分の過去を読み取っていた。アイリスと同じく、他者の心を読むことができる能力を持っているのだ。だが彼女と違い、奴は明らかに相手の心を踏みにじって楽しむ下衆だ。さくらを拐ったのもそれに起因しているに違いない。
なんにせよ…そんな負けたくない相手に自分達は負けた。隊長である大神が倒れ、さくらは誘拐されてしまった。自分を含めた隊員たちも奴の能力や卑劣な手口に歯が立たなかった。
あの時の戦争だって、そうだった。
『さすがに戦闘能力が優れているな、お前のパートナーは。「
火喰い鳥
(
クワッサリー
)
」と呼ばれるだけはある』
『それだけじゃないさ、状況判断にも優れている。彼女がいれば俺は百人力だ!』
『ユーリー、惚気話をするならもっと色気のある話をしろよ』
かつて、そのように称賛をくれた戦友たちがいた。
何より自分を高く評価し、信頼してくれていた『あの人』がいた。
だが結局あの時もその後、仲間が傷ついて、あげくの果てに負けて、大事なものを失うばかりで…
(…結局、運良く生き残ってきただけじゃない…!)
その後、翔鯨丸から米田によって、大神を連れての帰還命令が下される。
帝国華撃団・花組はこの日……黒之巣会に敗北を喫した。
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