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ドラゴンクエストX〜イレギュラーな冒険譚〜
第六十六話 エルヘブン
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それとは完全に別物だった。
 全体的な外観としては集落というより『岩山のような城』と言ってしまった方が適切だ。岩山の外壁に沿うように民家などが並んでいるものの、各所にある階段や柱が大理石で出来ているからか神殿のような清浄な雰囲気を感じさせ、集落にいるという感覚をさせなかった。
「あら、旅の方とは珍しい。遠路はるばるよくいらっしゃいました」
 私達に気づいた、エルヘブンの里人の女性が朗らかに話しかけてきた。
「僕達はグランバニアから来た者です。このエルヘブンの里の長老にお目にかかりたいのですが」
 アベルの返答を聴きながら、私は内心警戒していた。
 この里の出身であるマーサさんが、パパスさんと駆け落ちした事でグランバニアへの心象は悪いであろう事は察せられる。つまり、グランバニアから来た私達が長老に謁見させてもらえる可能性は低いのでは、そうでなくとも良い顔はしてもらえないだろうと考えていた。
 しかし、私のそんな考えは杞憂に終わる事となった。
「わかりました。長老様はあちらの頂の聖堂にいらっしゃいます。階段を登っていけば聖堂にはたどり着けますよ」
 特にグランバニアという言葉には反応せず、女性は笑顔のままそう答えた。
 女性に礼を言って、私達は聖堂に向かう。
「不思議ね。グランバニアはエルヘブンから嫌われているとばかり思ってた」
「それについては僕も不思議に思った。実際はグランバニアへの反感はないのか、もしくはあの女性が単にグランバニアとエルヘブンの関係を知らないだけなのか」
「全ては長老に謁見すればわかる事、ね」
 そんな事を話している内に聖堂に辿り着いた。
 扉を開けると、中の空間は広く灯火が各所にあり、床には大きく魔法陣が描かれている。そして魔法陣を取り囲むように4人の法衣姿の妙齢の女性が佇んでいた。
 おそらく彼女らが長老だろう。
「ようこそ、いらっしゃいました。グランバニアの者達よ」
「私達がこのエルヘブンを束ねる者です」
「あなた達はマーサの縁の者ですね?」
「よくぞはるばるいらっしゃいました。さて、何をお尋ねかな?」
 私達の存在を認識すると、4人の長老は順番に語り始めた。
「歓迎ありがとうございます、エルヘブンの長老方。僕はアベル。マーサの息子にしてグランバニアの王です」
「マーサの息子……。そうですか、あの子が出て行ってから、それほどの時間が経ったのですね……」
 長老達は笑みを浮かべた。
 やはりそこにはグランバニアに対しての反感などは感じられない。
「グランバニアは僕の父の行いにより、エルヘブンの民からは敵視されているとばかり思っていました」
「確かに、一時はパパス殿とマーサの行いには怒りを感じていた事は確かな事実です。グランバニアの方達がそう思うのも無理はないでしょう。しかし私達は知っ
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