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家族の声で
第二章

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「それでいいな」
「ええ、じゃあね」
「明日な」
「ジョンを病院に連れて行くのね」
「明日も仕事だけれどな」
 父は申し訳なさそうに自分の事情を話した。
「ここは任せていいか」
「ええ、任せて」
 夫に確かな顔で答えた。
「私が病院に連れて行くから」
「そうか、宜しく頼むな」
「車があるし」
「ジョンをそれに乗せてな」
「診てもらってくるわ」
「ああ、じゃあな」
「明日ね」
 ジョンを動物病院に連れて行くとだ、妻は夫に答えた。そうして実際にジョンを同部?病院に連れて行き。
 目を見てもらうと獣医は母に悲しい顔で答えた。
「もうこれは」
「駄目ですか」
「白内障ですが」
 それがというのだ。
「かなり進んでいてしかも重度ですので」
「だからですか」
「もう」
 獣医は母に悲しい顔のままさらに話した。
「治りません」
「どうしてもですか」
「手術は出来ます」
「では」
「ただそれには全身麻酔が必要で」
 それでというのだ。
「この子にかなりの負担をかけます」
「だからですか」
「はい、手術をすれば治るにしても」
「この子の殻に負担をかけて」
「成功しましても」
 白内障の手術がというのだ。
「肝心の命がです」
「だからですか」
「危険な賭けです」
 目か命化、そうしたというのだ。
「ですから」
「勧められないですか」
「どうしても。目が見えなくても生きていけますし」 
 獣医は今度は難しい顔で話した。
「犬は元々目があまりよくないですね」
「そう言われていますね」
「耳と鼻、特に鼻がいいので」
「目がなくてもですか」
「ご家族のサポートがあれば」
 それでというのだ。
「生きていけるので」
「だからですか」
「ここまでの白内障はです」
「もうですか」
「あまりに危険な賭けなので」 
 麻酔に犬の身体が耐えられるかどうか不安なまでにというのだ。
「ですから」
「ここは、ですか」
「無理と申し上げましたが。選択は」
「私達がですか」
「ご家族でお願いします」
 これが医師の言葉だった、母はその言葉を聞いてからジョンと共に家に帰った。そしてしょげかえって夫が仕事から帰ったところで家族会議を開いてその場で家族にジョンのことを話した。
 するとだ、妙がまず言った。
「じゃあジョンの目は」
「ええ、手術をすれば治っても」
「その手術でなの」
「ジョンの命がどうなるかわからないの」
「そうよ」
 こう娘に話した。
「実は」
「そうなのね」
「難しいな」
 夫も言ってきた、これ以上はないまでに深刻な顔で。
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