第一章
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何処かが悪くても
ツイッターでその犬のことを見て西野由加里はすぐに母に言った。
「お母さん、可哀想な犬を見たの」
「可哀想な?」
「そうなの、私と同じなの」
由加里は足が悪い、それでいつも車椅子だ。歩くことが非常に難しくその為これまでの生活も苦労してきた。
薄茶色の髪の毛をロングにしていて少し垂れ目である。穏やかな顔立ちで背は一六〇程だ。その彼女が母に言うのだ。
「そうした子なの」
「貴女となのね」
「そうなの、だからね」
それでというのだ。
「保健所にいるそうだけれど」
「保健所に連絡して」
「それでね」
そのうえでというのだ。
「引き取りたいけれど」
「貴女が育てるのね」
「私は足が悪いけれど」
それでもとだ、由加里は母に言った。
「幸いお家での仕事でしょ」
「ええ、貴女のお仕事はね」
「だからね」
所謂在宅ワークだからだというのだ。
「その子のお世話をずっと出来るから」
「それでなのね」
「雄で種類はマスチフで色は茶色なの」
「マスチフっていうと大型犬ね」
「そう、その子が保健所にいるから」
それでというのだ。
「うちで引き取りたいけれど」
「それで貴女が世話をするのね」
「駄目かしら」
ここで由加里は自分の脚を見た、ズボンに覆われているそれは動かしたくても普通には動かない。生まれてからのことだ。
その脚を見つつそのうえで母に尋ねた。
「私じゃ」
「その子も身体が悪いのよね」
母は娘に真剣な顔で尋ねた。
「そうよね」
「ええ、そうなの」
娘はここでその犬のことをさらに話した、母はその話を聞き終えてから娘にあらためて言った。先程よりも真剣な顔で。
「運命かも知れないわね」
「運命?」
「由加里ちゃんの脚が悪くて」
殆ど車椅子で歩くにも両手に杖が必要だ、そしてというのだ。
「その子もそうなら」
「それならなのね」
「ここで巡り合ったのは運命かも知れないわね」
こう娘に言うのだった。
「それも」
「そうなのね」
「運命なら」
母は娘にさらに言った。
「一緒になるべきだわ」
「それじゃあ」
「そう、そしてね」
それでというのだ。
「家族皆で可愛がってあげましょう」
「それじゃあ」
「その子は捨てられていたのよね」
「そうみたい」
ツイッターでの文章を見ればそうだった、由加里はその話もした。
「保健所の人が保護したっていうから」
「それじゃあ余計にね」
「余計に?」
「私達が引き取らないといけないわ」
「若し引き取らなかったら」
「その子は保健所にいるから」
母はそこから先はあえて言わなかったし由加里もわかった、母もそれを見てそのうえで娘に対して
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