揺籃編
第八話 昇進、そして問題発生
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チの野郎…ああ、すまん、警備艦隊司令官も頭が痛いだろうな」
「いいわよ別に。オジさま自身はいい人なんだけどね、縁故でどうのこうの言われるのはもう沢山。皆と別れるのは寂しいけど、転属になってよかったわ」
愚痴だらけだな…上に上がるのも考えものだぞこりゃ。
5月1日 エル・ファシル、自由惑星同盟軍エル・ファシル基地、警備艦隊地上司令部、
司令官公室 ギル・ダウニー
「…以上が第2分艦隊の状況です」
「了解しました。艦艇、人員とも最優先でまわしてもらいますが、時間はかかります、済みません」
「謝らなくて大丈夫だよ。それくらいは分かっているよ」
「申し訳ありません教官。それと今回の勝利、おめでとうございます」
アーサー・リンチ少将。
デスクワークも艦隊指揮もこなす、文武両道の期待の軍人、ということになっている。
彼は今でも私を教官と呼ぶ。彼が士官学校の学生だった頃、私は彼等の主任教官だった。彼を支える分艦隊司令として誘われた時に、二人の時は昔のままでお願いします、と言われたのだ。
「リンチ君。君の義妹さんは中々行動力があるな」
「そうなのですか?」
「うむ。今回の勝利は、義妹さんがきっかけだったと言っても過言ではない。ある下士官の提言を直接彼女が分艦隊司令部に持って来たからなのだ」
「…義妹がご迷惑をおかけしてすみません、職分を犯すような事をして…」
「迷惑などではないさ、勝ったのだからな」
「増援も送れず誠に申し訳ありませんでした、なんと申し上げたらよいか…」
「顔を上げたまえ、リンチ君。私が君の立場でもそうしただろう。指揮官の決断は常に万人に受け入れられるものではないのだ。気に病む事はないよ。まあ下の立場としては文句のひとつも言いたくなるがね」
「はあ…」
「君は回りの目を気にしすぎだ。確かに最前線を任されるのは期待の現れではある。だが、どうしても期待に応えられない時はあるのだ。期待に応えようとするあまり自分を見失ってはいけないよ」
「肝に命じます」
「…あと約二ヶ月か、君の元で働けるのも」
「教官のがおかげで現職を全う出来ているものと思っております。教官がいなくなったら私は…」
6月3日 エル・ファシル、自由惑星同盟軍エル・ファシル基地、警備艦隊地上司令部
ヤマト・ウィンチェスター
「バーンズ曹長、砲術科員の身上調査表、目を通してくれました?」
「ああ、まだだ、すまん」
「サイン貰わないと管制主任のところ持ってけないんで今日じゅうに」
「…了解した。というか、可愛げがなくなっちまったなあ、坊や」
「可愛くなりたいんですけどね。書類と責任が増えると可愛げが減る事になってるんですよ」
航法科の兵曹長が転属してしまったから、バーンズ兵曹長が旗艦最先任兵曹長になった
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