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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
揺籃編
第八話 昇進、そして問題発生
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それは…と先を言いかけたカヴァッリ大尉はグラスの中身を一気に飲み干した。そんな彼女をガットマン大尉はテーブルに肘をついて見つめている。
うん、若者はいいね、こうでなくちゃ。くすぶったままの恋の炎は消すか点けるかどうにかしないと。

 「ウィンチェスター曹長は、彼女いるんですか??」
そんな二人に当てられたのか、ファーブル兵長が尋ねてきた。…二人をジト目で見るのはやめなさい。
エリカは…彼女なのかなあ。告白されて結局最後まで行っちゃったけど、俺は彼女を好きなんだろうか…。
「気になる人はいるけど、彼女かどうかは分からないなあ」
「へえ…だったら今度、どこか一緒に出掛けませんか?」
「え!?別にいいけど」
「やった!出来る人は先物買いしないとね!ガットマン大尉、休みください!」
先物買い…現金な子だなあ。証拠金はちゃんと用意してるのかい…??

 「休みはいいけど、俺は許可できないぞ。転属だから」
「私も転属よ」
「二人とも転属なんですか?」
「ああ、俺は元々転属予定だった。次は第六艦隊だ。昇進も今回の戦いの結果ではなくて序列順の定期昇進さ」
「そうなのね。私は士官学校に行く事になったわ」
転属か。知っている人がいなくなるのは辛いな。危機が起きた時に人は新密度が増すというけど、今回は正にそれだった気がする。
「ダグラス曹長も転属よ。彼はローゼンリッターに行く事になったわ」
「え!?本当ですか?あいつ、そんなこと一言も言わなかったな。ですが、ローゼンリッターは亡命者の子弟から選抜されるのでは?」
「建前はそうだけどね。功名と悪名が強すぎて希望者が少ないのよ。この場合、悪名かしらね。…あら失言」
功名と悪名…ローゼンリッターは確かに同盟軍最強と呼ばれる陸戦隊だ。それ故に訓練も厳しいし、死傷率も高い。選ばれる事は名誉だが尻込みする者も多いと聞く。こっちは功名だよな。
では悪名は…ああ、そういう事か。
ローゼンリッターは戦闘中に逆亡命者が出るのだ。歴代の連隊長が自ら逆亡命することだってある。
「だからね、基本的には誰でもいいのよ。だって同盟市民は皆帝国から亡命したようなもんだろう、って事らしいわ。ダグラス曹長の場合はローゼンリッターから誘われたみたい。艦隊陸戦隊本部に詰めてたでしょう?あの人達、出撃するとずっと格闘術の訓練してるから、そこで見込みあるって言われて、本人も行く気になったようね」
サボり、サボりのイメージしかなかったけど、真面目にやってたんだな。みんな離れちゃうのか。
ちょっと…嫌だな。

 「ウチの分艦隊はしばらく開店休業だな。艦艇はともかく、人員だな。どこぞの星系警備隊からまわされて来るか、前線へ来たがる勢いだけのワカランチンが来るか…ダウニー司令も七月で勇退、パークス艦長も昇進して退役だ。リン
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