第二章
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子犬はロックと名付けられカドリング家に家族として育てられた、ロックは然程大きな犬でないがそれでもだった。
怪しい者にはよく吠え家族には懐き言うことはよく聞き大人しい犬だった。それでいつもジョンと一緒にいた。
ジョンは中学生に入ってもロックと家ではいつも一緒にいた、それで両親にもよく笑顔で言っていた。
「ロックがいて嬉しいよ」
「ああ、家族としてな」
「いてくれて本当にいいわね」
「若しロックがいないと」
どうかとだ、ジョンは言った。
「僕はとても悲しいよ」
「そうだな、若しあの時ロックを拾わなかったら」
「今の私達はないわね」
「ロックみたいないい子はそうそういないからな」
「いなかったらどれだけ寂しいか」
「ロックがいるだけで明るいよ」
家がとだ、ジョンはこうも言った。
「お父さんもお母さんも仕事がはかどってるね」
「ああ、気持ちが明るいとな」
「それだけでね」
カドリング家は自動車の修理屋をしている、車社会のアメリカなので仕事は尽きない。そしてその仕事がなのだ。
「仕事もはかどるわ」
「明るい分な」
「そうだよね、僕も気持ちが明るいから」
ジョン自身もというのだ。
「学校に行ってもね」
「上手くやっていけてるか」
「そうなのね」
「ジョンが来てからいつも明るいから」
だからだというのだ。
「友達との付き合いも勉強もスポーツもね」
「確かにロックが来てから成績も上がったな」
「そうなったわね」
「あの時から」
「全く違ったわ」
「そうだね、全部ロックのお陰だよ」
ジョンは笑顔で言い切った、彼は幸せの絶頂にいた。だが日曜に家の仕事を手伝って一人で作業をしている時に彼の不注意で。
頭をぶつけてそのダメージで倒れた、意識はなかった。その時作業場の隅で彼を見守っていたロックが。
慌てて別の場所で作業をしていた両親のところに来てしきりに吠えた。
そのロックを見て父は怪訝な顔で言った。
「どうしたんだ、一体」
「お客さんかしら」
母はロックがいつも客が来ると二人のところに来て鳴くことから最初はこう思った。
「これは」
「いや、何かおかしいぞ」
父はロックがしきりに大きく吠えるのを見て自分の妻に言った。
「これは」
「そうね、普段とね」
「何かあったんじゃないのか」
「強盗が来たのかしら」
「いや、ひょっとすると」
父はこうも思った。
「ジョンに何かあったのか」
「そういえばこの子さっきもジョンと一緒にいたし」
「ジョンが仕事手伝ってる時はいつも一緒にいるな」
「邪魔にならない様にね」
「だったらな」
父はさらに言った。
「作業場に行か」
「それじゃあね」
二人がこう話して作業場に向かうとロックが二人よりも先にだった。
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