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怖がる犬
第二章

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 その彼女を見て愛美は家で両親に話した。まだ小学校に入ったばかりであどけない顔立ちである。髪の毛は母親譲りだ。
「ポポ私が近寄ってもずっと怖がるけれど」
「ああ、まだな」 
 父が娘に答えた。
「あの娘はな」
「怖いの、私達が」
「そうだ、けれどな」
「それでもなのね」
「少しずつな、あの娘も愛美達のことがわかってな」
 それでというのだ。
「近寄ってくれる様になるさ」
「そうなるの」
「だから今はそうでも」
 自分達を怖がってもというのだ。
「そのうちな」
「近寄ってくれるのね」
「そうなってくれるからな」
「今は、なのね」
「ご飯をあげて声もかけて」
「お散歩もなのね」
「していこうな」
「皆でそうしていきましょう」 
 母も娘に言った。
「そうしていけばね」
「ポポわたし達を怖がらなくなるのね」
「きっとね、だから毎日ね」
「そうしていって」
「優しくしていきましょう」
「わかったよ」
 愛美は母の言葉も聞いた、そしてだった。
 家族全員でポポに優しくしていった、、だがポポは暫くの間ずっと家族を怖がり続け怯える目で見るばかりだった。
 それで夫婦は団体の人に聞いてみた、すると団体の若い女の人は夫婦に対して寂しい顔になって答えた。
「どの子もなんです」
「人を怖がっていますか」
「あの娘みたいに」
「本当に酷いところにいて酷いことをされていたので」
 それでというのだ。
「ですから」
「ずっとですね」
「酷いことしか知らなくて」
「酷い人達にそうされていて」
「それでなんですね」
「引き取った子達はです」
 まさにどの犬達もというのだ。
「どの子も」
「そうですか」
「そうした状況ですか」
「はい、ですが」 
 それでもとだ、団体の人は夫婦に話した。
「きっとです」
「優しく接していけば」
「それで、ですね」
「何時かは心を開いてくれて」
「それで、ですね」
「はい、何時かはです」
 それこそというのだ。
「心を開いてくれます、これまで色々な子を保護して引き取ってもらってますが」
 団体の人は夫婦に微笑んで話した。
「どの子も優しく接してもらっていますと」
「心を開いてくれてですか」
「懐いてくれますか」
「そうなってきました、酷い人達で心が閉ざされたなら」
 ポポの様にそうなってもというのだ。
「優しい人達がです」
「心を開く」
「そうなりますか」
「これまでどの子もそうでしたから」
 だからだというのだ。
「これからもお願いします」
「わかりました」
「それでは」 
 二人は団体の人の言葉に頷いた、それでだった。
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