第二部
追憶
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ていなかった。
クリスはそこで考えることを止め、ひたすら先制することにこだわってきたのだが、エリザはそれが本当に正しいかどうか考えることを止めず、その末に『後の先』と言われるものを理解し実行できるよう励んできた。
思想の差が今の結果だ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「まだまだぁッ!」
クリスは直ぐに立ち上がる。
(頑張りは認めるけど無理だクリス。今の君じゃあ勝てない。今はまだ、ね)
彼女はエリザを睨みながら突撃。
「呆れるわクリス」
エリザの目が細められた。
冷たいと錯覚するような気が放たれる。
寒気に襲われたクリスが止まってしまう。
「無様ね」
氷をイメージさせるエリザは右腕だけを持ち上げて勢い良く木剣を振り下ろす。
クリスは動けない。
回避や防御をしなければと理解しているのだがエリザへの怯えに思考がフリーズ。
「あ」
イリアスが見守る先でクリスは目を瞑る。
彼女の眉間に衝撃。
また尻餅を着いてしまう。
悔しいのか涙が溢れていた。
エリザは溜め息を吐く。
「本当に能無しねクリス。出来損ないだわ」
妹に掛けられる言葉は冷たい。
「イリアス。貴方も御父様に聞いたわね?」
姉妹の戦いを黙って観戦していた彼はエリザの問い掛けに対し応答する。
「英国の貴族はすべからく【古代旧神】の為に生き、古代旧神の為に死ぬ。それが責務であり運命だと聞いています」
彼は認めたくない考えだが。
「そう。私達の役目。でもこの娘には果たす力も資格も無い。クリスにはムシケラの生き方がお似合いよ。貴族の人生なんて似合わない」
言外に言っているのだ。
戦うことを辞めろと。
「地べたを這って負ける度に『弟分』やイリアスから慰められて泣きべそをかく弱虫に戦い続けなければならない時間は過ごせないわ」
(本来は私も其方側なんですが)
イリアスは好きで戦っているわけではなく、それしか生きる手段が無かったから軍に管理される魔術師として生きている。
(クリス、少し不味いな)
彼女の心は折れかけていた。
「ふざけないで! 私はあんたよりも強くなるッ! そうよ……。あたしだって強くなることくらい、出来るんだから……ッ!」
そう言ったクリスだったが諦めが生まれたことをイリアスは感じ取る。
しかし彼女は認めない。
必死に恐怖を抑え込む。
魔術師の武器【魔晄外装/ファーストブレイク】は本人の心を表すという説が有るのだが
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ