第二十章
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「誰も不思議の思わないわ」
「それだけに」
「貴方が表向きそうであっても不思議ではないわ」
「あちらでも麗しき宝石達を愛でていましたが」
「気付かれたわね」
「参りました、モナコ政府が私のことを知り」
そしてというのだ。
「その結果です」
「私と同じ様な人が来たわね」
「同業者と言うべきか。アンリエッタという方が」
「彼女ね」
「ご存知ですか」
「あまり会ったことはないけれど面識はあるわ」
それはというのだ。
「彼女とはね」
「そうですか、それで日本に全ての宝石を置いたうえで来たのですが」
「ここで私と会った」
「面白い状況ですね」
「そうね、けれどもう別の国に赴くことはないわ」
紗耶香は人形師の男に悠然とした声で話した。
「二度とね」
「それは何故でしょうか」
「ここで貴方が私に敗れるからよ」
それ故にというのだ。
「だからよ」
「そういうことですか」
「そう、ではいいわね」
紗耶香は妖しく笑ってそうしてだった。
その手に黒い炎を出した、そのうえで。
その炎を火球にして人形師に対して投げつけた、だが。
人形師は姿を消した、だがただ姿を消しただけでなく。
空に姿を現しそこからだった、右手を紗耶香に向けて。
赤い無数の糸の束を出して紗耶香を襲った、紗耶香はその糸の束をかわして後ろに跳んだがそこにだった。
さらにだった、人形師は次から次にだった。
紗耶香に糸の束を放った、だが紗耶香はその糸の束の攻撃をかわし。
そうしてからだった、後ろに退きつつ背中に六枚の黒炎の翼を出して飛翔した。そのうえで宙にいる人形師と対峙せんとしたが。
人形師は中空に張った蜘蛛の巣の中央にいた、さながら獲物を待ち受ける毒蜘蛛の様に。その中にいてだった。
紗耶香に対してだ、こう言った。
「さて、若しです」
「貴方の糸に掴まれば」
「貴女は身体だけでなくです」
さらにというのだ。
「心もです」
「囚われてというのね」
「私の宝石になりますが」
「そう思うと貴方はかなりの強さね」
「ですから今まで生きてきています」
そうだというのだ。
「この様に」
「それだけに強さに自信があるわね」
「左様です、この魔の糸果たしてかわせますか」
「糸には炎だけれど」
紗耶香は言いつつ再び黒い火球を出して人形師に対して放った、だが人形師はその火球を右から放った糸で絡め取りその中で消してしまった。そのうえで言うのだった。
「この通りです」
「炎も通じないわね」
「全てを焼き尽くす魔術の炎さえも」
「そうね、けれど言っておくわ」
「何をでしょうか」
「貴方は私に敗れるわ」
このことを再び言うのだった。
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