ターン22 機械仕掛けの地底神
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てやろう」
「あー?」
まだ仕事の話が続くと聞き、露骨に嫌な顔になる糸巻。だがその表情の裏には、いまだわずかに隠し切れない空元気の影が潜んでいる。鼓もまた目を細めて吟味するようにその反応を眺めるも、結局は何も追及せずに流す。
「これは私も意外だったんだがな……どうも、この一連の襲撃事件。犯人候補が一気に絞れてきてな」
「何?」
そう低く呟いた糸巻の目が、明らかに危険な光を放つ。わかりやすい反応に腕っぷしだけは頼れるが扱いが大変面倒くさくて気難しいこの相方は、いちいち情報を共有するのも一苦労だと胸中で独りごちる。
「ここ数日……私がここに来る前後あたりに、相次いで元プロ級のデュエリストがこの町に入り込んでいる。試しに何人かに当たってみたんだがな、糸巻。これが傑作な話なんだが、どうも全員がデュエルフェスティバル参加の招待状を貰ったからここに来たらしい。わざわざこの日に来い、と日時の指定までされてな」
「何……?」
「いやあ、まんまとしてやられたな。仕方がないから話を合わせておいたが、無論お前はまだ参加者の招待なんてしていないんだろう?」
憮然とした表情とは裏腹に、どこか楽しそうにそう話す鼓。それの意味することが分からないほど、糸巻は馬鹿でも無能でもない。
「つまりその中に1人……かどうかはともかく、犯人が紛れ込んでるってことか。偽の招待状まで作って呼び寄せた残りの奴らはアタシらの捜査攪乱のための囮……」
「あるいは全員がグルか、だな。いずれにせよ、決めつけは危険だ」
「はー……ったく、当のアタシら差し置いて随分好き勝手やってくれるもんだ。これはあれか?アタシが出場者リスト作るのサボることができたぜきゃっほーいって喜んどきゃいいのか?もうコイツらがデュエルフェスティバル主催でいいんじゃねえかな」
「そもそもお前が、なんでまだそれをやってないんだって話だがな」
煙草に火をつけて呆れたように呟く糸巻に皮肉の釘だけはきっちり刺しておき、少し冷めてしまったコーヒーに口をつける。とはいえいまだに相手のペースとはいえ、前進があったことには間違いない。
「そういえば糸巻、お前の部下はまだ戻って来てないのか?あの子の学校で起きたという話も、昨日は聞きそびれたからな。詳しく聞きたかったんだが」
「いや、アタシは見てねーぞ。むしろお前と合流して、一緒に帰ってくるから連絡もせずにほっつき歩いてんのかとばかり」
嫌な沈黙が流れ、赤髪と銀髪2人の美女が顔を見合わせる。無駄口叩く時間も惜しいとばかりに携帯を取り出した糸巻が、登録済みの……もっぱらあちらから掛けてくるばかりで、彼女の方から探すことは極めて珍しい部下の番号へと通話ボタンを押す。
プルルルル、プルルルル。無機質な着信音が、息を呑んで見守る2人のいる
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