暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王BV〜摩天楼の四方山話〜
ターン22 機械仕掛けの地底神
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付いた一振りの巨大な斧となった。2本分の長さを持つそれを、錬金術の力で爆発的に上乗せされた驚異的な腕力で唸りをつけて投げつける。

「時械神はそのほとんどが、戦闘によってプレイヤーに発生するダメージを0とする特殊能力を持つ。だがメタイオンのみは唯一、『攻撃表示の』自身の戦闘で発生するダメージを0にする能力を持つ。通常ならば運用に支障はない、ほんの些細な違いであることは否めないが……私のヴァレルガードならば、寝かしてしまうことができる。そして私のオリハルクには、メタルフォーゼ全てに対し守備表示モンスターを相手にする際倍の貫通ダメージを与える効果を付与する能力がある」
「ピピピピピ……」

 空気を裂いて飛来する斧がメタイオンの鏡面に突き刺さった。無数のひびが走り、そこに浮かんだ顔も見えなくなる。その様子を眺めながら口にしたのは、彼女にしては珍しい称賛の言葉。

「実に惜しかったな。もし最後に手札にあったのがメタイオン以外の時械神なら、私もお手上げだった。だがメタイオンならばその特性上、私でも十分相手にできる。お前の敗因は、度胸と運が足りなかったことだ」

 メタルフォーゼ・オリハルク 攻2800→時械神メタイオン 守0
 清掃ロボ LP1600→0

「こんなところか。こちらも仕事でな、悪く思うな」

 一時的に活動を停止した清掃ロボに近寄り、コントロールパネルを開く。デュエルに勝利したことでセキュリティは解除されていたため、内部データを呼び出すのに特別な技能は必要ない。

「ここ最近の地下のデータは、これか。ほう、地上からの出入りもリスト化されている……?なるほど、同型清掃ロボの地上型ともデータの共有をしていたのか。糸巻め、むしろよくこんな情報アドバンテージを握られた状態で仕事になったものだ……ん?」

 ぶつぶつと呟きながら、明かされたデータにざっくりと目を通していく。その視線がふと、情報の洪水のある一点を捉えた。





 地上に戻ったのちもあちこち奔走した鼓がようやく帰路に就いたときには、すでに上空には夜空が広がっていた。肌寒い風を感じながらオフィスに戻ると、ドアを開けた瞬間に今日は糸巻が入れていたらしいコーヒーの匂いが漂ってくる。

「今戻ったぞ。私にも寄越せ」
「あいよ、お疲れさん」

 うまくいったのか?などという愚問を飛ばすことはない。あくまでもこの友人を、糸巻は信用しているからだ。そして当の本人も、いちいち成功したなどと報告することはない。この友人が自分を信用したうえで何も尋ねてこないことを、彼女もまたよく分かっているからだ。

「気にするな、と言いたいところだが、今日は少し興味深いことがわかってな。聞きたい気分ではないだろうが、こちらもそれなりに重要な話だ。嫌だと言っても聞かせ
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