揺籃編
第七話 パランティア星域の遭遇戦(後)
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きればパーフェクトゲームだが、敵も馬鹿じゃない。こちらの意図するところを見抜いてさっさと逃げ出すだろう。まあ、それでも勝利は勝利だ。まことにありがとう」
司令が握手を求めてきた。虚をつかれたが、慌てて差し出す。はにかんだ笑顔が印象的だった。
「司令。戦う前に…策が成功するとは限らん、と仰っておられましたね」
「…確かにそう言ったな。それが?」
「いえ、成功するとは限らないのに、なぜ採用なされたのかと思いまして」
「…ふむ。私は七百二十七年生まれだ。まもなく六十五になって退役だな。君はいくつだ?」
「今年で三十五になります」
「ほう、そうか…あの方と同じ年か」
「あの方とは」
「ブルース・アッシュビー元帥だよ。…ドッジ大佐、私はウィンチェスター兵曹にアッシュビー提督を感じたのだ」
「司令はアッシュビー提督をご存知なのですか?」
「彼の事は皆が知っているさ。第2次ティアマト会戦。何もかも劇的すぎた。当時私は中尉だったが、提督とは会戦前に一度だけ話した事があるんだよ。ウィンチェスターが私の疑問に力強く答えるの見て、なぜかそれを思い出したんだ。ああ、これは勝つな、とね。あの方の作戦案も、本当に成功するのか?と疑うものが多かった。彼の策を採用したのはそれが理由だ。口ではああ言ったが、失敗するとは思わなかった、よくて痛み分けという想像はしたがね…愚にもつかない理由で失望したかな?」
「いえ。意外な理由で驚いています」
「単に私の思い過ごしと希望的観測と過大評価かも知れん。しかし考えてみたまえ、18歳でこの結果だ。この先どうなるか見てみたいとは思わないかね?」
「ブルース・アッシュビー元帥の再来、ですか…」
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