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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
揺籃編
第七話 パランティア星域の遭遇戦(後)
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が小惑星帯に伏勢を置くとして、どれ程の兵力を割くと思う?」
「我々の正面に本隊百二十隻、小惑星帯に三十隻ではないかと。反乱軍としては、せめて我々の半数を置かないと、伏勢が攻撃を仕掛ける前に本隊が敗れてしまうでしょうから」
「同感だ。会敵の予想時刻は?」
「約七時間後と思われます」



4月21日13:55 パランティア星系、銀河帝国軍、特別第745任務艦隊旗艦ニーベルンゲン 
艦隊司令部

 「隊司令、まもなく会敵します。反乱軍艦隊…百五十隻程が陣形をとっております」
「…敵は伏勢を置くのを諦めたのかな、参謀」
「元々反乱軍は我が方より少数です。艦隊を二分した場合、本隊が堪えきれずに各個に撃破される事を恐れたのかもしれません。…どちらにせよ敵は少数です。撃破する事は容易だと思われます」
「だな。全艦、砲撃戦用意。旗艦の発砲は待たなくてよい。有効射程内に入り次第、各個に砲撃開始だ」
「御意。…全艦、砲撃戦用意!」



4月21日14:00 パランティア星系、自由惑星同盟軍、エル・ファシル警備艦隊第2分艦隊、
A集団、旗艦ユリシーズ A集団司令部

 「…司令、我が方右翼側から後方にかけて小惑星帯が流れています。艦隊後部の駆逐艦やミサイル艇が小惑星を牽引している事を考慮しますと、こちらの作戦が敵に露見するのを避ける為にはこのまま横陣形で戦闘を開始した方がよいと思われます。小惑星帯がありますので敵左翼側からの圧力は減少しますが、正面および敵右翼側から圧迫されると危険です。幸い我が方は戦艦の数が勝っていますので、短時間なら確かに主砲の連続斉射で凌げるとは思いますが、連続斉射は二時間が限界です。少数の我々を打ち破れない事に敵が痺れを切らして我々を粉砕しようと突破を企図した時、小惑星帯からB集団が突撃を敢行します。B集団は突撃突破後、敵の後方を遮断、我々と挟撃態勢に入ります」
「了解した。私の人生の中で一番長い二時間になりそうだな」
「…同感です」
「しかしよくも思い付いたな。小惑星を牽引して敵のセンサーをごまかせ、火線の少なさは連続斉射で補え、とは…貴官が思い付いたのか?」
「いえ、ウィンチェスター兵曹です」
「だろうな。貴官では無理だろう。私でも無理だ。確かに長距離センサーでは小惑星と艦艇の判別はつかん
。盲点だな」
「…!」
「貴官や私が劣っている、というのではない。むしろ軍人としては我々の方が優秀だろう。発想の違い、だろうな。小惑星を牽引して敵のセンサーをごまかす、なんて事はシミュレーションでは再現出来んし誰もやろうと思わんだろう?」
「ですが…そういうものでしょうか」
「そうだ。だから大佐、今落ち込む必要はないのだ。それに、この策が成功するとも限らんだろう?…よし。全艦、砲撃戦用意。全砲門開け
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