揺籃編
第七話 パランティア星域の遭遇戦(後)
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「は、はあ」
いきなり入って来て突然何を言い出すんだ。ダウニー司令もパークス艦長も呆気に取られている。ウィンチェスター兵曹か?彼も困っているぞ。
「内務長、今は司令部の会議中なのは分かっているね?ダウニー司令も君の上官も驚いているぞ。いきなり来られても困るのだが」
「はい、それは分かっています。ですが、オジさ…いえ、リンチ司令官は過誤をなさっておいでです。このウィンチェスター兵曹は過誤の原因を見抜きました。それでここへ連れてきたのですが…」
「パオラ・カヴァッリ中尉。貴官は縁故を頼って自分の意見を通そうとするのかな?順序があるだろう。そんな事をされてもリンチ少将は喜ばないだろうと私は思うが」
「ですが…いえ、主任参謀の仰る通りです。失礼しました」
4月21日04:55 エル・ファシル警備艦隊第2分艦隊、旗艦アウストラ、士官室
ギル・ダウニー
「待ちたまえ内務長。主任参謀、聞いてみようじゃないか。宜しいか?艦長」
「司令がそう仰るのであれば異存はありません」
「私も異存はありません。が、内務長、今回だけだ。次からは副長同席のもと、艦長の私を通すように」
「…はい!ありがとうございます!…ではウィンチェスター兵曹、改めて貴方の推論を話しなさい」
「なるほど、そういう事か。…それならば敵に動きが無いのも、敵に増援が無いのも説明がつくな」
「はい、最初から敵本隊などいないのです。警備艦隊司令部を責める訳ではありませんが、敵の少なさに騙されてしまったのだと思います。兵力に比して警備区画は広大です。他にも敵がいるかもしれない、と考えるのは至極当たり前の話だと思います」
「では、あの敵は何をしているのだと兵曹は考えるね?」
「航路調査か星系調査の類いではないでしょうか。優勢なのに攻撃してこないという事は、戦闘以外の任務で侵入しているのだと思います。そこをアルレスハイムで哨戒グループに見つかった、そしてパランティアで我々に出くわした、という事ではないでしょうか」
「調査か。だが我々に見つかった後も敵は撤退しないな。何故だと思うね」
「我々より優勢だからです。劣勢な状況の我々が攻撃を仕掛ける事はないと思っているのでしょう。攻撃されてもいつでも撃破できる、もし反乱軍に増援が到着したとしても充分に逃げられるだろうと。ならば調査任務を続行しても問題はありません」
「よく考えたな、納得した。艦長、いい部下を持っていますな」
「ありがとうございます、と言いたいところですが、私も顔を見るのは初めてなのです。彼の着任した晩に出撃でしたからな。艦長挨拶は次の日に予定していたのですよ」
「そうでしたか。…話を戻そう。敵の意図は判別した。この後どうするかだが、敵の増援がないのであれば、撃破に向けて努力しようと思うが。ウィンチェスタ
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