第3章(原作3巻) 可能性の道標(アウトレンジ)
第22弾 少女との再会(ミッシング・リンク)
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んだね」
「まあ、な」
交錯した僅かな時間で、俺はマキの背面に背負っていた刀『氷華』を抜き取った。『相鋏』という、平山に伝わる技で。
この相鋏という技は、『鳶穿ち』と呼ばれる相手の内臓を抉る技を原型にした技。
本来鳶穿ちは片手で行うものだが、うちの先祖はこの技を完全に真似ることができなかったため、両手で行う相鋏という別の技として仕上げたそうな。
俺は更にその技を、相手の服の内側などのものを奪う技へと変化させ、先程のようなことを行えるようになった。
この改良版相鋏は、本来ならば俺だけの技。
そう思っていたが、どうやらそれは間違いのようだ。
「そういうマキも……だろ?」
そう告げた俺の先、振り向いたマキの右手には炎雨よりもやや長い刀が握られている。
先程の一瞬で、俺同様にマキも相鋏を行っていたらしく、俺の背面からは『霧雨』が姿を消していた。
「霧雨……抜き取ったね」
氷華を鞘から取り出しつつ、マキへと尋ねる俺。
「見ての通り」
いつの間にか鞘から抜き出していた霧雨と炎雨を構えつつそう返すマキ。
そっちが双剣なら、こっちだって。
背面に取り残されている『雷鳴』を右手で抜き、氷華と共に構える。
そして、俺は地面を蹴り勢いよく飛び出す。
今の俺は戦闘面では圧倒的に劣る。だけど、1人の刀使いとして背を向けることは出来ない。
「???『落雷』ッ!」
飛び上がった俺は、上空からマキへと斬りかかる。
「???『渓流』」
対するマキは、霧雨で雷鳴の一撃を受け止めた瞬間に刀を引き、自然な流れで俺の一撃を退ける。
「『激流』ッ!」
俺は着地と同時に逆手持ちした氷華による追撃を放つ。
「???『潮風』」
一歩下がるのではなく、逆に一歩踏み込みながら俺と同様に逆手持ちした炎雨で氷華を受け止めるマキ。
それと同時に、下段から繰り出される霧雨の斬撃。
「ヤバ……!」
俺は慌てて後方へ飛びマキの攻撃を紙一重で躱すが、追い討ちを掛けるように追撃してくるマキ。
「『摺廻』ッ!」
体勢を低くしたマキは、刀を引き摺るような動きから無数の斬撃を繰り出す。
俺はそれらを左右に握った刀でいなしていく。
「……ッ!」
目にも留まらぬ斬撃を前に、押されていく俺。
そして、俺の対処が追いつかず振りかざされた一刀が俺の眼前に迫ってくる。
直後、俺の中に流れるあの血流。
同時に、身体を後ろに傾けバク転を行いマキとの間合いを開く。
まさかこの状態にまで追い込まれるなんて……。
「……っと」
「これも抜けるんだね」
「ギリギリだけどな」
そう言葉を返しなが
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