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戦国異伝供書
第七十六話 美濃に進みその十三
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「そこまで至ってそしてじゃ」
「そのうえで、ですな」
「当家としては」
「それを守っていく」
「そうすべきですな」
「わしはそう思うからな」
 だからだというのだ。
「殿にもじゃ」
「お話して」
「そしてですな」
「何度でもそうされて」
「時をかけても」
「天下を見て頂く、天下を見れば」
 義景がそうすればというのだ。
「自然とじゃ」
「天下から越前を考えられ」
「織田家と結ぶことを考えられ」
「そうしてですな」
「越前一国を守れますな」
「国を守りたいなら」
 そう思うならというのだ。
「その国や周りの国だけでなくな」
「天下ですか」
「天下全体を見る」
「そのうえで考え動く」
「そうしてこそですか」
「果たせる、そうした時代になったからこそ」
 それならというのだ。
「是非じゃ」
「殿にお話して」
「そうしてですな」
「今後は」
「天下を見て」
「そして戦う、しかしだ」
 それでもとだ、彼はまた言った。
 そしてだった、宗滴は義景とまた話したがそれでもだった。義景はどうかという顔で彼に言うばかりだった。
「そう言われますが」
「当家はですか」
「天下を望まず」
「越前だけなので」
「そこから出るつもりはないので」
 無論越前一国の領地を少しを手放すつもりもない、だがあくまでそれ以上のものはというのが義景の考えだ。
「ですから」
「それで、ですか」
「越前と加賀、後は近江を見て」
「それで充分だと」
「美濃とも国を接していてもお互いに攻められぬので」
 両国の間に高く険しい山が連なっているからだ、それで義景も斎藤家もお互いに意識することはあまりない。
「ですから」
「それで、ですか」
「こうした国々だけ見て守りを固め」
「他家との付き合いも」
「本願寺とは常にいがみ合っているので」
「浅井家とですか」
「この家と若狭の武田家位で」
 精々という言葉だった。
「天下を見ることも。ましてや尾張の織田家は」
「到底ですか」
「うつけと評判、しかも」
 それに加えてというのだ。
「尾張からどうして大きくなるか」
「駿河の今川家や美濃の斎藤家にですか」
「押されて」
 そしてというのだ。
「大きく動けぬかと」
「だからですか」
「あの家が雄飛することは」 
 宗滴が言う様にというのだ。
「ないかと」
「殿はそう思われますか」
「織田家については」
 これまた特にという言葉だった。
「気にせずとも」
「天下人になることも」
「有り得ぬかと」
「では大きくなっても」
「例えそうでも別に手を結ぶことは」
 それもというのだ。
「特にです、しかもあの家は確かに当家と同じです」
「斯波家の下の守護代ですな」
「それは同
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