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戦国異伝供書
第七十六話 美濃に進みその十三
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じでもあの家は越前の神主の出で」 
「代々斯波家に仕えてきた当家とはですな」
「格も違いまする」
 家柄、それが違うというのだ。
「その織田家の風下に立つなぞ」
「出来ませぬか」
「どうも、とかくです」
「それがしの言うことは」
「どうしても大き過ぎかつ有り得ぬと」
 その様にというのだ。
「思いますので」
「頷けませぬか」
「はい、大叔父上のお話でも」
 とてもというのだ。
「どうにも」
「左様ですか。ですが」
「またですか」
「お話させて頂きます」
 朝倉家の為にというのだ。
「宜しいでしょうか」
「お話は聞きます」
 それは義景も決して断らなかった、だがそれでもだった。
 義景は宗滴の言葉に頷かなかった、そうしてただ悪戯に時を費やすのだった。それが朝倉家の今であった。


第七十六話   完


                  2019・12・1
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