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戦国異伝供書
第七十六話 美濃に進みその七

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「それはわかろう」
「若し守っても」
「川の守りがあれどです」
「とかく六角家は兵の数が多いので」
 だからだとだ、兵達も話した。
「やはりです」
「攻めた方がな」
「よいですな」
「うむ、しかしな」
 それでもとだ、新九郎はさらに言った。
「敵の動き次第じゃ」
「こちらから攻めるにしても」
「どうするかは」
「そうじゃ、あくまでな」
 そこはというのだ。
「敵次第じゃ」
「そうですか」
「この度は」
「敵の動きも見て」
「そうして戦いますか」
「間も来る、どう来るか」
 新九郎は向こう岸を見た、そうして布陣を整えさせてその布陣が整うと川の向こう側にだった。 
 遂に六角家二万五千の軍勢が来た、見るだけで浅井家の軍勢より遥かに多かった。しかもその軍勢は止まることなく。
 川に向かって来た、新九郎はその動きを見て言った。
「来るか」
「川を渡ってきますか」
「このまま」
「そうしてきますか」
「うむ、その勢いじゃ。正午過ぎにはな」
 この頃にはというのだ。
「川を渡ってじゃ」
「そしてですか」
「そのうえで、ですか」
「こちらに来ますか」
「そうしてくる、ならばな」
 それならというのだ。
「こちらもじゃ」
「はい、川を渡るところをですな」
「水際で防ぎ」
「渡らせませぬな」
「いや、半ばじゃ」
 新九郎は家臣達に確かな顔で話した。
「ここは」
「半ばですか」
「川を半ば渡った時に」
「その時にですか」
「そうじゃ、攻める」
 その時にというのだ。
「よいな」
「はい、それでは」
「これよりですな」
「一気にですな」
「攻めますな」
「そうして敵を叩き」
 そのうえでというのだ。
「勢いを得てこちらもな」
「攻める」
「そうしますか」
「今度は」
「そうじゃ、ではまずは渡らせる」 
 敵にあえて川をというのだ。
「そしてじゃ、そしてわしが言うまではな」
「攻めてはなりませぬな」
「絶対に」
「左様ですな」
「そうじゃ、仕掛けるな」
 これは決してというのだ。
「よいな」
「承知しました」
「ではですな」
「この度は」
「待つのも戦のうちじゃ」
 何と言ってもというのだ、こう全軍に命じてだった。
 新九郎は今は敵軍を攻めさせなかった、そしてあえて川の北岸から下がってそうして敵を渡らせることにした。
 すると新九郎の読み通り正午過ぎにだった、六角家の先陣が川を渡ってきた。それが二千五百程になると。
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