第三幕その十
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「門番ではないよ」
「普通に暮らしているのね」
「山にいて山に入った人にね」
「謎々を出してなのね」
「楽しく過ごしているだけだよ」
「それだけなのね」
「そう、だから彼女も人を食べたりしないから」
だからだというのです。
「それで答えられなかったり外れてもね」
「残念でしたで」
「それで終わりだよ」
「そういえば今彼女って言ったね」
ハンクはこのことを指摘しました。
「あちらのスフィンクスは」
「如何にも。生身の身体でね」
「性別は女性なんだね」
「そうだよ、私は男性でね」
それでというのです。
「彼女はね」
「女性なんだね」
「そうだよ」
「そうなっているんだ」
「ライオンの身体に翼があって顔はね」
「人だね」
「そうした身体なんだ」
ギリシアのスフィンクスはというのです。
「彼女はね」
「成程ね」
「同じスフィンクスでも全く違うよ」
「というか」
ここで言ったのはボタンでした、穏やかですが考えているお顔です。
「同じスフィンクスとはね」
「思えないというのだね」
「うん、身体の仕組みも違うしね」
「私は石だしね」
「本当に別の生きものみたいだよ」
「そうだね、けれどね」
「名前はスフィンクスで同じなんだ」
ボタンは少し納得したお顔になって言いました。
「そうなんだね」
「そうだよ、けれど全く違うね」
「そうだね」
「私達はそうした間柄なんだ」
「不思議な間柄だね」
ボタンはこうも思いました。
「スフィンクスさんとギリシアのスフィンクスさんは」
「言われてみればそうだね」
「僕はそう思ったよ、そして」
「それでだね」
「今からピラミッドの中を進んでね」
「僕も楽しむといいね」
「是非共そうして欲しいよ」
スフィンクスにしてみてもです。
「今からね」
「ではね」
「うん、行って来てね」
スフィンクスは笑顔で言ってでした、皆を見送りました。一行はスフィンクスに皆で手を振って一旦別れました。
そしてピラミッドの前に来るとでした、そこでハンクがベッツイに言いました。
「じゃあ今からね」
「中に入るわよ」
ベッツイはそのハンクに微笑んで答えました。
「そうするわよ」
「ええ、じゃあね」
「そしてだね」
「そう、そしてね」
そのうえでというのです。
「冒険をするわよ」
「そうだね、しかしね」
「しかし?」
「いや、僕達はテーブル掛けとテントがあるから」
この二つがあるからだというのです。
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