序章
序章
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右手に逆手で持ち、対抗しようとするが既に勝負は決していた。
「……写輪眼……」
前方にいた忍が呆然とした様子で呟いた。目を合わせてしまった時点で既に幻術の中にいる。相手は力無くうつ伏せに倒れ、気を失っていた。これで残るはただ一人。
「……オレの負けだ」
残った一人はハルマに敵わないと判断したのか、膝を折り、クナイを捨てた。賢明な判断だと思ったが、油断したところを襲ってくるとも限らない。足にチャクラを込め、素早く後ろに回り、手刀を落とした。
「ふぅ……今日は……満月か……」
瞳を閉じて、深呼吸をする。再び目を開いた時、浮かぶのは黒い瞳だった。上空を見上げると、燦然と輝く満月が目に入る。満月を眺めているとハルマの脳裏にあの日の事が過ぎる。
ーオレを殺したくば恨め!憎め!そしてみにくく生き延びるがいい……。逃げて……逃げて……生にしがみつくがいいー
あの日、ハルマは大切な人たちを失った。家族。あの日の事は今も鮮明に覚えている。術の練習を終えて帰った時、そこは地獄だった。血によって赤く染まる土地。苦悶の表情を浮かべながら息絶えた人たち。彼らとは対照的に全てを受け入れたかのように穏やかな表情を浮かべていた姉。ただ寝ているだけだと思う程穏やかな顔だった。
ー何で!何でこんな事になったんだよ?? イタチさん????ー
自分は何も出来ず、何も知らない餓鬼でしかない。何故、うちはイタチは同胞を殺したのか。ただの同胞殺しではない事は、姉の表情を見れば分かる。姉も忍だ。イタチの同胞殺しを理由もなく見過ごす筈もなければ、受け入れる筈もない。だから『何か』があったのだと、そう言い切れる。もう一人、あの事件から生き残ったイタチの弟はそれを認めないだろうが。ただ、その一方でハルマ自身、イタチを憎いとも感じている。大切な人達を殺したイタチが許せない。仕方のない事ではあるが、そんな自分の一面を改めて自覚し、ハルマは自嘲するように鼻で笑う。
「はっ……人の事言えねえか……」
顔の右側を包帯で覆った男。黒い衣服を着込み、はだけさせた左肩からは白い衣服が露わになっている。左手に杖を持っているその男の名を志村ダンゾウという。彼は自身の居室で虎の仮面を被った部下の報告を聞いていた。
「……ダンゾウ様。また千手一族の者が倒れているのを発見いたしました」
この4年間、よく耳にする報告だ。それを聞いて、ダンゾウは小さく息を吐く。
「そうか。やったのはやはり……ハルマか」
最初は他里か大蛇丸の仕業だと思っていたから、あのハルマだと分かった時は驚いたものだ。
「はい。彼らの記憶を辿った限りは……」
あの事件から約4年。ハルマがどのように成長しているのか、興味があった。
「
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